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6話 コーヒーの香りの中で・・・
 長い入浴の後、二人はベッドルームに場所を移して、
 バスローブを身にまとい、ソファーでくつろいでいた。
 忠司は、しみじみと呟いた・・・。
 車の中でも何度も同じ事を言っていたが、また思い出したように、
 
「いやぁ〜〜〜、ほんとに、相性がいいというか・・・
 何もかもが、自然と言うか、考えてる事や、物事の感じ方とが同じなんだよな〜」
 
 紗樹も同感だった。忠司の言葉を聞きながら、優しく頷いていた。
 今日、初めて会ったというのに、紗樹に対しての優しい態度や反応は、
 男特有の、抱きたい為だけの下心から来る物ではないことは感じてた。
 忠司本来の性格が、優しく思いやりがあって正直なことは、
 今日一日、一緒に過ごしてみて、よくわかった。
 もっと早く知り合っていれば・・・と忠司も紗樹も思わずにはいられなかった。
 かといって、もう仕方の無い事だと紗樹は、割り切っていた。
 こうした出会いも、割り切って、安全に楽しめばいいと・・・。
 おそらく、この時の忠司もそう思っていただろう。
 
 それから、また恋の炎が燃え上がったかのように、二人は抱き合った。
 ソファーの上で、忠司は紗樹を、前から、後ろから攻め続けていた。
 蜜の滴る狭い肉壁に無理やり押し入るような挿入感を何度も味わいながら、
 まるで、己の太い肉棒の味を、紗樹の身体に刻み付けるかの様に、
 何度も何度も、突き上げた。
 そして紗樹を自分の物にしたという征服感に、酔いしれていた。
 
「せっかく広いベッドがあるのに」
 
 笑いながら、紗樹が言った。
 忠司の激しい攻めに何度か、高みに昇りつめてから、ようやく気が付いた訳でもないが、
 移動の時間が惜しいかのように、長い時間ソファーの上で愛し合っていた。
 
 紗樹は、帰る支度を終え、コーヒーを入れようとしていた時、
 ラブホでは珍しく、その場で豆を挽くタイプのコーヒーメーカーの使い方に戸惑っていた。
 すると忠司が、すかさず手伝いに行き、まるで台所に新婚夫婦が並んでいるようだった。
 しばらくすると香ばしい匂いが、部屋中にひろがっていた。
 
「あ〜〜美味しいね」
 
 紗樹は、挽き立ての豆で、たてたコーヒーの味を堪能していた。
 忠司は頷いたかと思うと、急に一つの事を提案した。子供の様な笑みを向けて、
 片手を挙げ、おどけたように言った。
 
「せんせい!」
 
「はぁ?」
 
「これから、月に一回会うことを誓います」
 
「え〜〜、それって宣誓?・・・」
 
「そお。宣誓!」
 
「いいよ!月一回なら、何とか・・・」
 
 忠司の意外な提案に、思わずコーヒーを吹きだしそうになった紗樹だった。
 たった一度の、アバンチュールに終わったかも知れない出逢いに、
 何も次の期待などしていなかったし、考えていなかった。
 ただ、今日一日を最後まで楽しく、お互い嫌な思いをせずに過ごせれば良かった。
 
 この時は、まだ・・・。
 お互いを求める思いが、それほど強いものになるとは予想していなかった。




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