警告
この作品は<R-18>です。
18歳未満の方は
移動してください。
十九話
――夢を見ている。
フワフワと足元が覚束ない。琥珀色の液体に浸かって沈んでいく自分を、もう一人の自分の視線が客観的に眺めていた。
溺れるような仕草もせずに、沈んでいく自分の体。何所からともなく漂うあの香り。
――この琥珀色には見覚えがある。
体に染み付いた香りが自分から立ち昇る。ほんのりと、でも確実に。
クラクラと陶酔するような、あの香りだ。
ゆらゆらと揺れる粘度の高い液体。
あのシャワージェル。
「おーい。授業終わったぞ。居眠りで夢まで見るとは、よっぽど疲れてたんだな。」
背中をポン、と叩かれて目が覚めた。光は眉間に皺を寄せたまま、一時間みっちり寝ていたらしい。
「あ…賢吾…。」
「寝ボケてんの?うるうるした目して。毒舌はどこいった?」
そう言われても、さっきの夢が一体何なのか気になって、光はボーっとしてしまった。
「大丈夫か?やっぱ今日のマラソンが相当堪えてるな。」
「そうかも。俺、次の英語、抜けるわ。」
静止する賢吾を振り切り、屋上へ向かう。
やはり体育が相当堪えているようで、まるで夢の中と同じように、足取りが覚束ない。膝に力を入れても何だか頼りなかった。
屋上の日陰に寝そべると、冷たいアスファルトが外気の蒸し暑い温度を誤魔化してくれる。光は、ポケットからタバコを取り出すと、火をつけ深く吸い込んだ。一度肺に取り込まれた煙を、ふぅと吐きだすと、軽い眩暈がした。
瞼を閉じると、先ほどの夢が頭をよぎった。光の嫌いな夏服の半そでから覗く細い腕を顔に近づけると、クン、と匂いを嗅いでみた。微かにあの香りがする。
――やっぱり外国製のものって香りが強いのかな。
確か英国ブランドだったはずだ。そのせいであんな不思議な夢を見たのだろうか。青い空を見上げながら考えていると、右手の指が熱い。ジリ、と短くなっていたタバコをもみ消した。
――ああ。今日はもう、疲れて何もやる気がしない。
ポケットから取り出したiPodのイヤホンをセットする。耳に心地よい爆音が、周りの喧騒を消した。
「光、大丈夫?なんか動きがオカシイけど。」
「…筋肉痛。」
「え?」
綺麗に片付けられているダイニングから、アールグレイの香りが立ち上る。紅茶を淹れながら新之助は思わず聞き返していた。
「だから、筋肉痛だって。」
「なーに。悪いことでもしたの?」
カチャ、と光の目の前に出された紅茶は、ふんわりと湯気を立ち上らせている。
「悪いことって、どういう意味で?体育でマラソンしただけだよ。」
「マラソン!光は長距離走れるように見えないけど…」
「ご想像通り、走れないよ…だからこんなになってるんだってば。」
自分のカップを持って光の隣のイスに座る新之助は、ゆったりとした手つきで光の腰を抱き寄せた。
「まぁ、それならいっか。俺はてっきり筋肉痛になるような、悪いセックスでもしたのかと。」
「だ、誰とそんな事するっていうんだよ!」
「だって。光は自分のことあまりにも知らなすぎるんだもん。」
紅茶を一口飲むと、新之助はカップから離した右手で光の頬に触れた。指先が熱い。
「今日…初めて見たけど、ヤバイね。その制服姿。」
今週の土曜日は、登校日で学校があった。終わったその足で、新之助のマンションへ来ていたのだ。出会ってから初めてのことだった。
「ヤバイって…?」
「普段のロックテイストな光も、もちろん好きだよ。17歳と思えないような大人びた感じで。でもさ、やっぱ制服着ると実感させられるわ。高校生なんだよなー。」
「それって、やっぱりダメかもってこと…」
「違う。逆。」
緩く結ばれているネクタイを新之助の指がシュル、と滑らかに解いていく。第二ボタンまで開けられたシャツの隙間に、唇を寄せる。
「あっ…」
「あー、ホントやばい。このまま抱いてもいい?」
「えっ、ちょっとまっ…!」
「待てない。」
ガシッと抱きかかえられた光は、リビングのソファに転がされた。うつ伏せに寝転んだまま振り向くと、新之助がペロリと上唇を舐めている。見下ろす目線がまるで舌なめずりする獣のように見えた。
――自分はこれから喰われる獲物と同じだ。
そう感じて、下半身に僅かな熱が灯った。体は望んでいた。彼に征服されることを。
――もっともっと、俺を満たして。
そして同じように、貴方を満たすことができるだろうか。
カチャカチャとベルトを外される。うつ伏せのまま、四つんばいになると、制服のスラックスとボクサーパンツを同時に膝まで下ろされた。その上に、圧し掛かるように新之助が覆いかぶさってきた。
「今日は、服着たまましようか。」
「ん…。」
新之助が後ろから抱きかかえるように、光のシャツのボタンを一つずつ外していく。そして敏感な突起を摘んでは捏ねてくる。
「んぁっ…!」
「そんな声出したら、俺の理性が吹っ飛ぶ。」
パッと一瞬離れた新之助は、ダイニングテーブルの上にあった瓶を持っていた。その蓋を開けると中のトロリとした液体を光の晒されている双丘に垂らした。
「んっ、何それ…っ?」
「ハチミツ。」
「ちょっ、なに塗ってるのさ。」
「いいから、光はスイーツみたいなモノだろ。俺を誘惑して食べさせようとしてるくせに。」
「誰がそんな…っ」
「やっぱり自分では気付いてないんだな。」
クチュっと蕾にハチミツの絡まる指が進入してきた。甘ったるいハチミツの香りが、まるでお菓子でも作っているように部屋に広がる。
「半分制服着たまま、こんな所に指入れられて。感じる?」
グチュグチュと挿入する指を動かしながら、抱きかかえるように耳に囁く新之助の言葉が、光をどんどん煽っていく。
「あぁっ…ん…ぅ…あっ」
すでに芯を持ち始めている光の雄には一切触れようとせずに、新之助は後ろの刺激を強めていく。
「指二本も銜えてるのに、まだ物足りないの?最近の高校生はずいぶんイヤラシイんだね…」
「んぅっ…わ、ざと…してる…だろ…んっ」
光の中の敏感な部分を突くことはせずに、やんわりとやり過ごす。疼く中心を避けて通る指がじれったい。
「今日、止められないかも。ひどくしちゃいそうだ…」
ズチュッと指を抜いた新之助の、掠れた声が耳に残る中、すぐさま熱い楔が打ち込まれた。
「あぁぁぁーーっ!!」
「キツ…」
ズッズッと容赦なく進入してくる新之助の雄が、先ほど触れなかった部分に当たる。途端に快感が内側から溢れ出して来た。
「あぁっ、だめ…っそ、こ…!」
「ここ気持ちいいの?俺のでもっと感じろよ、ほら!」
性急な攻めが続く。光はうつ伏せのまま、後ろから激しく突かれて、気持ちよさで頭がおかしくなりそうだった。
――これじゃ犯されてるみたいだ。
そう思うと、益々感じてしまう自分はすでに、どこかのネジが飛んでいるだろうと、光は快感に連れ去られそうな意識で感じていた。
「あぁぁっ、あぁんっ…も、イキそ…うっ!」
「こんな風にヤラれても感じるんだね。…俺が、好きなのかな。それともセックスが好きなのかな。あぁ、光の中は熱くて最高に気持ちいいよ。今日も中で出してやるから。好きだろ?」
すっと伸ばされた手が、光の雄を握って扱いた。中をかき回す熱い楔が打ち込まれる速度も増して、光の絶頂はすぐそこだった。
「ぁあっ!!い、イクっ…あぁぁっ…んんぅっ!」
光の背中が弓のようにしなり、膝がガクガクと震えた。新之助の手の中に白濁した欲望を吐きだすが、さらに新之助が内側を攻め立てて、絶頂を目指していく。
「あぁっ、光…愛してる…っ!」
ドクンドクンと熱いものが注ぎ込まれた。四つんばいで尻を高く上げている姿勢のためか、注ぎ込まれたものが、体の奥へと進んでいくような感覚だった。
新之助がドサッと光の背中に体を預けてきた。すぐ横に息の上がった甘いマスクがある。
「…新之助…俺も…愛してるよ。」
言おう言おうと思っていても、中々言えなかった言葉。
最後は消え入りそうな声になってしまったけれど。
今日、ようやく言えた。
自分を支配していた熱いものが抜かれて、ドロリと液体が太ももを伝うのが分かる。
そのままソファに倒れている光の前に、新之助が座った。
「聞こえたよ。」
光は恥ずかしくてソファに顔を埋めたまま、返事をした。
「うん。…そうだから。」
シン、と静まり返る部屋。どうしたのかと思って光は顔を上げた。そして自分の目を疑った。
整った顔を歪ませて、綺麗な瞳から涙を溢れさせている彼がいた。
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。