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第五章『浮舟』三
 その屋敷は、いつ訪れても影差す鬱蒼とした森のような不気味さを持っていた。
 上州の都のはずれ。
 広さと華麗さは、領主の屋敷にも勝るほど立派な建築物。
 なのにどうしてか、どこか鬱蒼とし、古びた化け物屋敷のような印象を与える。
 やはり屋敷の主の性格が反映されているのだろう。
「失礼いたします」
 薄暗い屋敷の一室で、中 斗信は男の客を迎えていた。
 中年のはげた頭とでっぷり太ったお腹は、いかにも裕福な商人であるという事実を顕著に物語っている。
 そして口元に帯びた薄笑いは、日の当たる場所だけでの取引きを好む者ではないという人格を、よくあらわしていた。
「首尾は万事整いましてございます」
「そうか」
 商人は下卑た笑いを浮かべながら頭を下げ、斗信を伏し拝むように報告する。
「これでかなりの者が買収できます。斗信様の天下ももうすぐでございますな」
「わたしの天下? この国の民の開放の日とでも言ってもらいたいね」
 斗信はにやりと笑った。
「皇帝は気付いてはいまいな」
「はい、それはもちろん」
 男はそう言うと、懐から文を出す。
「皇弟、準親王様からの密書でございます」
 斗信は文を受け取ると、明かりに近づけ、目を通す。
 読み終えた彼の顔には、侮蔑の笑みがあった。
「ふん、都合のいい隠れ蓑になるとも知らず、ご苦労なことだ」
 馬鹿にしたように鼻で笑うと、斗信は密書をたたむ。
「返事はいかように?」
「もちろん準親王様のために、忠誠を尽くさせていただくさ」
 男二人は、にやにやと笑う。
 どす黒い陰謀が、静かに始まろうとしていた。






 州城は、いつもと変らない一日を過ごしていた。
 光竜は今日も熱心に執務に励む。
 報告書に目を通し、指示を出し、訪ねてきた各地域の代表と接見し、あっという間に午後になった。
 ちらりと外に目をやり、光竜の目が細められる。
(もうすぐ時間だわ)
 彼の予告どおり、下官が来客を告げた。
「清 雄那様がお見えになりましたが」
 下官の口調は、少々遠慮気味なもの。
 ここ数日、光竜は口実を作っては彼を避けていたからだ。
 卓に書付を置き、光竜は考え込む。
(いつまでも門前払いしてはいられない。何の解決にもならないわ)
 彼の意図が何なのか――今、扶安が雄那の都での動向を調べている。
 その結果がわかるまで彼と会わないつもりでいたが、やはり兄の友人、いつまでもそんな態度でいるわけにもいかない。
(あたしの杞憂かもしれないしね。そうしたら雄那様には、本当に失礼なことをしてしまったことになる)
 光竜はしばらく考えたあと、下官に命じた。
「今日は少し執務に余裕がある。お茶の時間は遠乗りに変更しよう。雄那殿に遠乗りに出かけたいと伝えてくれ」
「わかりました」
 一礼し、下官は執務室を退出した。
 一人になり、光竜はほっと肩を落とす。
 このまま執務室に招き入れたら、また質問攻めに合いそうだ。
(それよりは外で思いっきり馬を駆けさせた方がいいわ。話題も出来るだけ州の情勢に関係ないものにしよう)
 彼はそう決めると、外衣を羽織って支度をした。





 二頭の馬が、颯爽と州城を出て行ったあと――。
 別館はいつもより哀しげな装いで、昨日降った雪の名残りを瓦に乗せていた。
 窓辺に座り、外を眺めながら、華玲はもの寂しげな表情を浮かべる。
 膝には、昨日光竜の使いが届けてくれた絵巻物が広げられていた。
『最近忙しく、なかなかそちらに出向くことが出来ません。雪で外出もままならないあなたのお慰めになれば良いのですが』
 一筆したためられた文と共に贈られた絵巻物。
 彼の気遣いは嬉しいが、それは逆に彼女の心を締め付け、いっそうの寂しさへと追いやっていた。
(今日も光竜様は、あの方と――)
 最近、頻繁に州城を訪れる若君の存在。
 忙しいときは会わないようだが、時間の許す限り、光竜が雄那と接していることを華玲はよくわかっていた。
(あたくしとしたことが……)
 彼女は目を閉じ、物思いにふける。
 そう。
 最初はそんなつもりはなかった。
 結婚することが嫌だから、彼を利用して逃げる。
 それだけのつもりだった。
 甘い言葉も積極的な仕草も、すべてここにいるための演技にすぎない――はずだったのに。
(会えないと、こんなにも辛いなんて……)
 華玲の心は、寂しくてどうにかなってしまいそうだった。
 ここ十日ほど彼とは会っていない。
 毎日、彼の姿が見えないかと夕刻を待ちわび、今日は来れないという使者が訪れるだび、深く落胆する自分の心。
 そんな感情をもてあましている。
 光竜は、と問うと、大抵自館で客人を迎えているとの返事が返ってくる。
 客人とは清 雄那。
 自分が以前あんなにもあこがれの君と想像していた人に、ほぼぴったりの男性。
 以前の自分なら、きっと彼の目をこちらに惹きつけて楽しもうとしただろう。
 でも初めて彼が光竜とここに来たときに、そんな感情は一切沸かなかった。
 むしろ今すぐ光竜の目の前から消えてもらたいとさえ思ったほどだ。
 それは何故なのか、流石の彼女も気付いてしまう。
(あたくしは、本気で光竜様に恋をしてしまった)
 それを自覚すると、胸の中が激しく乱れた。
(なんてことでしょう)
 止めたいと思う。
 この溢れる激しい感情を、今すぐ打ち消してしまいたい。
 どんなに思ってもかなわぬ恋など胸の内に秘めていては、この身の破滅だ。
(もちろん光竜様に想いを伝えることは出来るわ。でも)
 華玲は悔しそうに唇を噛む。
(この姿では、どうしようもない)
 光竜は、一生男として生きるつもりだ。
 でもたとえそうだとしても、自分の本質は女であることぐらい、よくわかっているはず。
 そんな彼が女性の求愛を受け入れることなど絶対にありえないし、まして共に生きる男性を選ぶなどもっての他である。
 いや、自分の性別を自覚しているだけに、男性に心惹かれる可能性の方が高い。
 女の姿でいる自分を、彼がどうして受け入れられるだろう。
(いっそすべてを打ち明けてしまおうかしら)
 そんなことまで真剣に考えてしまった。
 でもやはりそこまでする勇気は出ない。
(いままで女のようななりで生きてきた男など、軽蔑されてしまうのではないかしら。あの方とあたくしでは背負っているものが違いすぎる)
 己の命を守るためだけの女装。
 光竜のように家と一州を守るためにやむを得ずの男装とでは、あきらかに動機が卑小すぎる――そんな気がして、彼女は狂おしいほど思い悩んだ。
 でもどんなに考えても、何も答えはみつからない。
 本気で彼の愛を得る希望などどこにもありはしないという事実が、むなしく心を駆け巡るだけだ。
(光竜様……)
 華玲は行き場のない想いを涙に代えて、彼を想い、熱く頬を濡らすのだった。





 国境に程近い丘の上は、とても見晴らしが良かった。
「寒くありませんか」
 毛皮を身に巻きつけ、白い息を吐きながら、光竜は横に馬を並べている雄那に問う。
「大丈夫ですよ。それより光竜様の方がお寒いのではありませんか。頬も耳も赤くなっていらっしゃる」
 雄那は苦笑しながら返事をした。
 図星をさされ、光竜の頬がもっと朱に染まる。
 それ以上何も言えずに、彼は前方に広がる景色に目をやった。
 うっすらと冬の白に染まった城下町が一望出来る。
 その鮮鋭な美しさは、心洗われるものがあった。
「本当に見事な町だ。あれが真恵が命をかけて守っていたもの――そして今はあなたが守っていらっしゃる」
 雄那は、悲哀を帯びた声でつぶやく。
 その言葉に何かを感じ、光竜の胸はざわめいた。
(雄那様、何を言おうとしているの?)
 どこか厳しい顔で城下町を見つめる横顔は、それこそ戦いにでも赴く戦士のような峻厳さがある。
 光竜は言葉もなく彼を見つめた。
「都に真恵の訃報が届いたとき、わたしは信じられない思いで報告書を何度も読み返しました。そして憤怒の情にかられた――あなたもそうだったのではありませんか、光竜様」
「……」
「実に辛い内容でした。一国の領主が通りすがりの賊に射殺されたなどという報告を、どこの誰が鵜呑みに出来るというのでしょう。事情を知らぬ者ならともかくとして」
 雄那は横を向き、半ば挑むような視線を光竜に向ける。
「わたしにはすぐわかりました。真恵のやつ、しくじってあの恐るべき男の策にはまったに違いない。こんなまぬけな話で命を落とすような人間ではなかったことは、親友であったわたしが一番よく知っている。光竜様、どうぞお教えください。一体彼がどのような最後を遂げたのか」
 苛烈な瞳が、小柄な彼の全身を捉えた。
 何を言わんとしているのかを悟り、光竜は身を震わせる。
(あの目、あれは……)
 光竜は以前同じ瞳を見たことを思い出し、体中に戦慄が走った。
 そう、華玲がまったくそっくりな目をしていたことがある。
 大切な存在を奪われ、その仇に向ける怒りに満ちた悲しいまなざし。
 目を合わせていられなくなり、彼は辛そうに瞳をそらした。
 そしてぽつりとつぶやく。
「それを知って、どうされるおつもりですか」
「……」
「すべてはもう過ぎたことです。今更真実をあなたが知ったとて、兄はもう……この世にいないのですから」
 必死に感情を押し殺し、光竜は声を出した。
 でも最後の言葉を口にする頃には、身が震えてどうしようもない。
(お兄様……)
 あの無念と悔しさは、自分の心に消えずにある。
 いや、その想いがあるからこそ己を偽って生きているといっても過言ではない。
 肩を震わせ、声を失って俯く彼の様子に、雄那の瞳が和らいだ。
「お許しください、光竜様。ぶしつけにこんな質問をして」
「……い、いいえ……」
「ですがもう何も聞かなくてもわかります。あいつはやはり斗信の手にかかって殺されたのですね。それも相当むごいやり方で」
「……」
 光竜は、ただうなずくしかなかった。
「そうですか」
 雄那はそう言うと黙り込む。
 冬の冷たい風が、二人の間にさし入った。
 身にしみるその寒さは悲しみと連動してして余計に心を凍てつかせ、痛みを感じさせる。
「わたしは正直疑っていたのです、光竜様。あなたのことを」
「え?」
 唐突な雄那の言葉に、光竜は目を瞬かせた。
「あなたのことは真恵から一度も聞いたことがありませんでした。家族の話はよくしてくれたが、その中にあなたの存在は一度もなかった」
 ひやりと光竜は背筋が凍りつく。 
(まさか……ばれた?)
 全身のすべてを硬直させ、彼は雄那の次の言葉を待った。
 しかし雄那は穏やかな口調で続ける。
「あいつが斗信の手にかかって殺されたという事実は、その場にいないわたしにもはっきりと確信出来ました。でも次の領主に斗信ではなく実の弟君が立ったと聞いて、とても驚いたのです。真恵に弟がいたことなど、わたしはまったく知らなかった。だから狐につままれた思いでいたのですよ」
「……」
「いろいろ考えました。もしかしてこの弟は斗信の手の者かもしれない。自分がすぐ領主の地位につくことが得策ではないと考え、別な者をでっち上げた可能性だってある」
「そんな」
 あまりのことに光竜は絶句した。
(雄那様は、あたしが斗信の手先だと疑っていたの?)
 今度は別な意味で体が震えてくる。
 それは怒りなのか悲しみなのか――。
「またこうも考えました。斗信の野望を阻むため、魁家が労した苦肉の策なのかもしれないと。このままでは真恵を殺した悪漢を領主の地位につけることになる。この地を守る魁家としては断じて許しがたいことだ。ゆえに誰かを替え玉とし、弟ということにして領主にする。そうすれば斗信は手も足もでない」
「それでわざわざ確かめに来られたのですか」
 光竜は感情を込めないよう、努めて冷静な声で尋ねる。
 今度は沈黙を持って、雄那は答えた。
「そうですか」
 光竜は辛そうに目を伏せる。
「ですがあなたと数日接し、わたしにははっきりとわかったのです。やはりこの事に関して嘘偽りはないと――あなたの真恵に対する想い、この上州にかける情熱は、決して他人では得られぬもの。あなたと真恵はまぎれもなく兄弟であり、あなたは魁家の血を引いている。本家で奥方様や春奈姫と食膳を共にしているときも、皆様と違和感なく接しておられ、家族の一員であることは疑いもない事実です。突然立てられた替え玉などでは、こんなことは出来るはずがない」
 雄那は優しい笑みを光竜に向けた。
「あなたを疑ったこと、今では本当に恥じております。どうぞお許しください、光竜様」
 真摯な瞳に、光竜の中の憤りは静まっていく。
(この方は、本当にお兄様を大切に思っていたのだわ)
 彼は改めてそう感じた。
 そして胸の奥が更に熱くなる。
 あの大好きだった兄をこんなにも思ってくれる人。
 誠実で優しい男性の心に初めて触れた瞬間の胸の高鳴りは、少年としてではなく少女としてのもの。
(雄那様……)
 心に彼の横顔を刻みながら、光竜は以前とは少し違う感情で雄那を見つめていた。
 
 


 雄那と別れ、州城に戻ってきた光竜を待っていたのは、あまり顔色のすぐれない扶安だった。
「急ぎでないなら明日でいいよ。もう退出の時間だろう」
 光竜が暖かい声でそう言うと、扶安は首を横に振る。
 彼は光竜と共に執務室に入ると、用心深く扉を閉めた。
「どうしたんだ」
 扶安の様子に、光竜は戸惑ってしまう。
「先ほどまで雄那様とご一緒だったそうですな」
「ああ。それがどうかしたか」
 と聞き返し、光竜は眉をひそめた。
(そういえば扶安に、彼のことを調べておくようにって命じていたわね)
 扶安は落ち着いた態度で、書付を光竜の前に出す。
 受け取って目を走らせ、光竜は絶句した。
「なんだ、これは」
「清 雄那。皇帝陛下の内武官。平時は陛下のお側に仕えて守りを勤める。それとは別に陛下の指示あらば内密に動くこともある。どの武庁にも属さず、陛下直属の武官として独自の特権を持つ方です。位こそ高くありませんが、皇帝陛下の側近中の側近。もしかしたら皇族よりも、陛下に近しい存在のようですな」
「そんな方だったのか」
 光竜はそこまでとは思っていなかったので、正直驚いた。
「だがますます解せないな。そんな方に皇帝陛下が休暇を与えるとは――しかも親の仮病で」
「ええ。表向きは生家の父親が病に臥せっているため、見舞いの里帰りとなっておりますが、こちらの調べでは父君は病床などではなく、とてもお元気だとか」
「……」
「わざわざ親に仮病を使わせてまでの帰郷。これは何かあると思わざるをえません」
「そうだな」
「それとこれは関係あるのかどうかわかりませんが、最近都で不可解な事件が相次いで起こっているそうです」
「不可解な事件?」
「貴族の中に奇怪な動きをする者たちがいるとか――突然気がふれて往来で踊りだしたり、人を無差別に襲うようになったり」
「気がふれて、だと?」
「はい。そしてたいてい捕らえられた者たちは、すでに正気を失っており、わけのわからないうわ言をぶつぶつつぶやき、顔色も非常に悪く、牢の中でも暴れだす始末だとか。平民たちは、普段贅沢三昧をしている貴族たちに竜神の怒りが降り注いだのだと大層恐れているそうです」
「竜神のたたり……」
「また無差別に火付けをしたり、人を殺めた狂人もいて、都はかなり混乱しています。皇帝陛下の朝廷にさえ、突然狂った貴族が大声をあげて詮議を遮り、お手打ちにあったとか」
「随分事が大きいな」
 あまりのことに、光竜はしばらく考え込んでしまう。
(雄那様は、あたしのことを確かめに来たって言ってたけど)
 どう考えてもそれだけではない。
 もし本当に光竜に対し、不信の念を抱いてきたというのなら、あまりにも時期が遅すぎやしないか。
 あれから三年が経っているのだ。
 もっと早く確かめにくるのが普通だろう。
(それにこの都の奇怪な事件……)
 都ではたたりとなりそうだが、上州だったらそうはならないだろう。
 すぐに媚薬、あるいは何らかの怪しい薬の副作用だと断定出来る。
(まさか――あの斗信が)
 光竜は、背筋をあわだたせながらそう思った。
 それ以外考えられない。
 どんな手を使ったのかは知らないが、都にまで触手を伸ばしているのは間違いない。
(なんてこと……上州は少し抑えられたと思ったのに)
 悔しげに光竜は唇を噛む。
 自分の政策で、この上州から麻薬や媚薬の被害は減少、身売りや売春も少しずつだが確実に規模が少なくなってきている。
 抜け目のないあの男が他州に目を向け始めているのはわかっていたが、すでに都にまで勢力を広げていたとは――。
(あたしの気付かぬ間に何て事を。ここ数日、目立った動きがないから油断してたわ)
 一瞬でも気を抜くつもりはなかったのに、一歩出し抜かれてしまった。
 そのことを思うと、自分の非力さに腹が立つ。
 光竜は荒ぶる心を何とか抑え、扶安に引き続き都の情勢についてくわしく調べるよう、斗信の屋敷から目を離さぬよう指示を出した。
 扶安が引き下がると、我慢できずに卓の上に顔を伏せ、嗚咽を漏らす。
(まだまだ未熟者よね、あたしは)
 これから挽回出来るのだろうか。
 なんとしても上州から国に広がる魔の手を抑えねばならない。
 でも本当にそれが可能なのか。
 どんなに外見を繕っても、彼は所詮かよわい非力な十六の少女に過ぎないのだ。
 自分には永久に斗信に勝てないような気がして、光竜は心の奥深く落ち込んでしまう。
 でも――。
(くじけてはいられないわ。お兄様の無念を何としてもはらしたい)
 その一念が、また彼の顔を上げさせた。
 何のために真実の己を捨てたのか。
 斗信に大切な兄の守ってきたものを渡したくはなかった。
 命尽きる瞬間まで、斗信に立ち向かっていたであろう誇り高い兄。
 この上州は、兄の人生そのものだと言っても良い。
 それをあの卑劣な悪漢に汚されるなど我慢出来ない。
(まだ負けたわけじゃない。あたしの命が終わるまで――最後の最後までどんなことがあってもあきらめないわ)
 窓辺から、沈む夕日の荘厳な姿が見える。
 西空すべてを朱に染める炎のごとき鮮明な色。
 その見事な色と同じくらい、光竜は新たに闘志を燃やしていた。






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