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この作品は<R-18>です。
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思い出の彼女
 虫の声が響く公園を、牧村康夫(まきむらやすお)は静かに歩いていた。夜風が心地良く、月明かりがきれいだった。
 しかし、それを楽しみに公園を歩いていたわけではない。ただ、通りを迂回するよりも、公園を横切った方が早いというだけのことである。
 いつも彼は、何気なくそこを歩いていた。
 広い公園だった。中央には噴水があり、そこから四方に歩道が延びている。昼間であれば、テニスコートもあるし木陰もあるし、ベンチもあるしトイレもある。なかなか趣深い公園なのかもしれない。しかし、夜半となるとそのほとんどが障害物としての役割しか果たしていなかった。
 康夫も初めは不気味に思っていたが、もはや慣れてしまっていた。こんなところで、何も起きるはずがないと思っていたのだ。
 いつものように、噴水のところを左へ折れる。そこの一角が、公園の中で最も暗い空間の一つだった。外灯は等間隔に並んでいたが、その後ろはちょっとした雑木林のようになっていて、一歩足を踏み込めば、人の姿も闇に紛れてしまう。考えようによっては、危険なスペースだった。
 普段から静かに歩く癖のあった康夫は、この一角に差しかかると殊更静かに歩いた。特に何があるというわけではないが、自然と身体がそう動くのである。
「ううぅっ……」
 不意に、男の呻き声が聞こえてきた。康夫は驚いて辺りを見回す。しかし、意識した途端に虫の声ばかりが聞こえてくる。
(空耳だったのかな……)
 そう思いながら再び歩を進める。
「ううっ、うあぁ……」
 今度はさらにはっきりと聞こえた。茂みの奥からだ。
 康夫の心臓が早鐘を打つ。行くか行くまいか、迷いながらも好奇心は警戒心に勝り、彼は茂みの方を覗き込んだ。
(もしかしたら、病気か何かで苦しんでいるのかも……)
 心の中で言い訳をしながら、茂みを少しずつ分け入っていく。
 あまりよく見えなかったが、確かにそこには、蠢く影があった。しかし、まだよく見えない。
「うう……ぐっ、うは……!」
 康夫はそっと、注意して静かに一歩、影の方へと近寄ってみる。そこには、二人の人間がいた。月明かりに照らされて、意外と鮮明に見える。
 一人は、太い木にもたれかかる、中年の男だった。くたびれたスーツに禿げた頭で、典型的な日本のサラリーマンという感じだ。
 もう一人は、うずくまって男の股間に顔を押しつけていた。短いスカートから白い足が見えている。
 男女が、茂みの中でオーラルセックスをしていたのだ。
 康夫はそれを見て、身体が硬直してしまった。行為自体に驚いたわけではない。男のペニスを口に含んでいるのが、女子高生だったからである。
(実際に、こんなことってあるんだな……)
 息を潜めて様子を窺っていた康夫は、そんなことを考えていた。しかし、どこか違和感がある。
(いや、そんなはずはない……!)
 康夫は、違和感の正体に気がついた。その制服を着た少女は、四年前、康夫自身が高校生だった頃、好きだった同級生の亜佐美(あさみ)にそっくりだったのである。
 しかし、彼女であるはずはない。亜佐美は大学受験を機に、遠く離れた街へ行ってしまったからだ。
「うぐぐ、あっ! い、イク!」
 中年の男が、かなり小声でそう言ったのが聞こえた。
 康夫は目を見張った。
 中年の男は小刻みに痙攣し、女子高生の口内に精を放っているのだろう。女子高生の方も、それを口で受け止め、吐き出す様子を見せなかった。
 その時、女子高生がちらりと視線を向けてきた気がした。康夫は慌てて身をかがめる。気づかれてしまっただろうか。
 怖くなり、動けなくなってしまったが、二人は康夫を探る様子もなかった。
「いやー、ありがとう。気持ち良かったよ」
「えー、たったこれだけ? 私、精液まで飲んだのよ?」
「えっ、そんな……。分かったよ。じゃあ……」
「うふ。ありがと。またよろしくね、おじさん」
 二人はそんな会話を展開していた。おそらく、金銭の授受が行われていたのだろう。今なら気づかれることもあるまい。
 彼はそっと身体を浮かすと、もと来た道へと戻っていった。噴水のある辺りまで戻ると、そっと心臓に手を当ててみる。もう随分と落ち着いてはいたが、鼓動はどこか変に力が入っていて、ぎこちなく感じた。
 それよりも、陰茎の勃起が気になった。
(ああ、何と言うことだ……あれを見て……)
 康夫は言いようのない罪悪感に苛まれた。しかし同時に、昂ぶる好奇心にも気づいていた。
 確かに亜佐美に似てはいたが、絶対に亜佐美ではない。しかし、本当に似ていた。もし、金銭のやり取りだけで彼女を抱けるのなら――。
 康夫は、再び先の場所へと戻った。より慎重に、足音も気配も立てないよう気を使い、茂みへと近づいていく。
 すでに、そこに人影はなかった。
「まあ、そりゃそうだよな」
 康夫は気持ちを言葉にして、小さく呟いた。
 急に虚しくなって帰ろうと思った。足音を気にすることもなく、茂みをかき分けて遊歩道へと戻る。
 ズボンに付着した土や木の葉を払い、家へと延びる道を歩き出した。その時である。
「ねえ、覗きのお兄さん。今は何を探してたの?」
 後ろから声がした。聞き覚えのある声。若い女性の声である。
 背中が冷たい汗に濡れるのを感じながら、康夫は平静を装って振り返る。
 先の女子高生が、外灯の光に晒されて、先より判然とした姿を康夫に見せた。彼の心臓は、また強く脈打ち始めた。
「君は? いったい、何のことを言ってるんだ?」
 かすかに声は上擦っていたが、意外と上手く言葉を発することができた。康夫はそう思うと、いくらか冷静さを取り戻した。そして、目の前の女子高生をまじまじと見つめた。
 本当に似ていた。長くて色素の薄い髪も、きれいな二重瞼に大きな瞳も、自然な色で厚みのない唇も、細くてすらっとしたスタイルも、全てが亜佐美のそれと瓜二つだった。
(まさか、本当に……?)
 康夫が思案を巡らせていると、相手が口を開いた。
「そんな見え透いたごまかしはいらないよ。さっき、私がオヤジのアレをくわえてるところ、見てたでしょ? 目も合ったし」
(やっぱり見つかっていたのか!)
 康夫は足がすくみ、思わず目をそらした。恥ずかしい気持ちになり、二の句を継ぐこともできない。
 そんな康夫を尻目に、女子高生は淡々と話を続けた。
「別に、見られたからって怒ってないからね。あのオヤジが悪いのよ。もう少し明るいところでして欲しいなんて言うから」
 馴れ馴れしい口調に、康夫もいくらか罪悪感が薄れていくのを覚えた。
「いつも、君はあんなことをしてるのか?」
 相手の反応を見ようと、康夫は探りを入れた。
「うーん、いつもっていうか、お金に困った時だけかな」
 相手は悪びれる様子を見せず、そう言った。
「じゃあ、お金を払えば、誰とでも?」
 深入りすることに、躊躇いはなかった。
「まあ、大抵の場合はね。まあ、こっちが嫌になるような相手とはしないけどさ」
 彼女は慣れた口調で喋った。唖然としてしまい、康夫は何と言って良いか分からなかった。
 そんな彼を促すように、彼女は続けた。
「で、お兄さんはどうするの? ヤリたいの? ヤリたくないの?」
 康夫は生唾を飲んだ。頭の中では、理性と本能が葛藤を繰り返していた。
 彼はかねてより、亜佐美を抱きたくて仕方がなかった。しかし、今や亜佐美は遠い街へ行ってしまい、もう会えるかどうかは分からない。そして今、目の前には亜佐美にそっくりな女子高生がいる。彼女は金さえ払えば、抱くことができるかもしれない。ただ、金銭の授受によって女子高生と猥褻行為に及ぶのは、れっきとした犯罪だ。どうすれば良いのだろう。
 そこまで考えたが、前にも後ろにも進めなかった。そんな彼の心理を見抜いていたかのように、その女子高生が口走る。
「据え膳食わぬは……えーっと、何だっけ?」
 その一言が、彼の本能を後押しし、理性を退けていった。
「じゃあ、君に頼んでみようか」
 言葉を口にした途端、身体が震えてきた。恐怖していたわけではない。筆舌に尽くしがたい興奮が、彼の全てを支配していたのである。
「やったね。そうこなくっちゃ。あっ、私ね、ミサって言うの。君って呼ばれるのは好きじゃないから、次からは名前で呼んでね」
 ミサと名乗った彼女は康夫の手を引くと、茂みへと促した。康夫も、それに合わせて垣根や植木を飛び越える。
 遊歩道から少し離れた茂みの中で、ミサは康夫を立ち止まらせた。
「じゃあ早速……」
 ゆっくりとした動作で、彼女はしゃがみ込んだ。
「ちょ、ちょっと待って。ね、値段とかはどうなの?」
 いきなりのことに、康夫は取り乱してしまった。
 ミサは微笑みながら答える。
「値段とかは適当につけてよ。あなたがいくら持ってるのかも分からないしね」
 ズボンのジッパーを下ろし、開いた窓から手を入れる。硬くなったペニスに彼女の指が触れ、康夫は思わずたじろいだ。
(あの亜佐美が、今、自分のに触れている……)
 違うと分かっていても、康夫は興奮を抑えきれなかった。
 すでにミサは、康夫の性器を外へ露出させ、薄い唇でそれにキスをしていた。続いて、やや白色の混じった舌を出し、筋に沿ってそれを舐め上げる。腰が砕けるような感触に、康夫は思わず呻き声を出した。
「さすがに若いね。さっきのオヤジとは固さも太さも全然違うよ」
 いたずらっぽくそう言うと、ミサは手でそそり立つ肉棒をしごき始めた。上下に、テンポ良く、愛おしげに、慣れた手つきで、しごく。
 快感が下半身に集まり、心地良くなってくる。射精の衝動が押し寄せてくるが、それを懸命に堪えた。ここで終わりを迎えるのは、あまりに勿体ないと思ったからである。
 ミサは再び口を開くと、全体を覆わんばかりに奥へと入れた。唇、舌、歯、口内の粘膜と、全てを使って刺激を与えてくる。それに伴って、射精の衝動はさらに強くなる。
(このままでは……!)
 そこで、彼は恐ろしいことを考えついてしまった。
「く、口ではイケないから、素股にしてくれないか?」
 言うと、ミサは性器から口を離して答えた。
「え、うーん。まあ、良いけど……」
 さすがに動揺を示していたが、納得したらしい。
 康夫はズボンを太腿まで下ろした。ミサも、柔らかい土の上に座り込み、少し足を開く。紺地に濃緑色のチェックが入ったスカートから、白い下着が見え隠れしている。
「パンツの上からでも良いでしょ?」
 ミサはそう言った。
「いや、駄目だ」
 康夫は有無を言わせず、彼女のショーツに手をかけた。
「えー、まあ、仕方ないか」
 まるで、童貞の頃に――あの高校時代に――戻ったかのような興奮が、康夫の内面を支配していた。震える指で下着を抓み、ゆっくりと脱がせる。秘部が露わになって、思わずミサの顔を見た。そこには、かつて憧れていた人の顔があり、思わず康夫は目をそらす。
 脱がされたショーツを、ミサは康夫の手から引ったくった。
「あんまりじろじろ見ないでよ。あと、入れたら駄目だからね」
 恥ずかしそうにしているミサに、康夫は満足感を覚えながら覆い被さった。
「大丈夫だって。安心しなよ」
 彼女の足を両脇に挟み、ゆっくりと、お互いの性器をあてがった。短くて硬い、芝生のような陰毛がペニスに触れる。そして、その下にある甘露の滲む渓谷に、それをこすりつけた。
「あぅっ……!」
 小さく身体を震わせ、甘い吐息を漏らす。康夫が意識的に、亀頭をクリトリスに当てていたせいである。
「あっ、あぁ……あん!」
 熱くなった肉棒の先端が、二枚貝に覆われた真珠を刺激するたびに、ミサの声は大きく、荒くなっていく。
 康夫は、自分が射精することよりも、ミサに快感を与えることを目的で腰を振っていた。それが功を奏したのか、彼女のビラビラから粘性の液体が溢れ出てくる。
 彼は試しに、先端で割れ目を開き、襞の中へとそれを滑り込ませてみた。
「ちょ、ちょっと……!」
「いや、ごめんごめん。滑っちゃってさ」
 言いながら、再び先端を愛液の湧き出る井戸へと侵入させる。
「入れちゃ駄目だよ……」
 ミサはそう言ったが、口調は弱々しく、むしろ自らの言葉を否定しているようにさえ見えた。
「本当に駄目?」
 康夫は、今度は先端を抜くことなく、そのまま尋ねた。
「…………」
 呼吸を荒げるばかりで、彼女は何も言わなかった。
「ねえ、本当に駄目なの?」
 さらに康夫は、制服の上からミサの胸を揉んだ。外側から、円を描くように小ぶりな乳房を愛撫する。
「うっ……うぅ……そ、外に、出してくれるなら……」
 目を背けながら、彼女はそう言った。
「ああ、もちろんだ」
 康夫は口角を上げて笑みを作った。いよいよ、彼の四年来の望みが叶う時が来たのだ。相手は別人だったが、言うなれば、これで思い出に終止符を打つことができる。
 彼は肉棒を奥へと突き立てていく。熱い襞の感触に、全身が蕩かされるようだった。
「うっ、ああああ!」
 ミサは叫ぶように喘いだ。
「しっ、人が来たら大変だ」
 言いながら、康夫は制服のボタンを外していく。ショーツと同じ色のブラが露出された。その隙間から手を這わせ、先端にある小さな突起を指で挟んだ。
「そ、そんなこと言っても……!」
「じゃあ、これを噛んで」
 ポケットからハンカチを取り出し、ミサに噛ませる。
 康夫はミサの中に一物を入れたまま、抱きかかえるようにして起きあがらせた。自らもトンボ座りのような体勢になり、彼女を促す。ゆっくりとミサが腰を落とし、さらに奥へと入れてゆく。
 小さく、不器用に腰を上下させながら、康夫はミサの背中へと手を回した。服の上からブラのホックを抓み、指で弾くようにしてそれを外す。すると、上下動に合わせるようにして、彼の目の前で乳房が露わになっていった。
「うぅっ、くぅっ……」
 恥ずかしさからか、ミサの口から声が漏れる。構わず、康夫は幼い膨らみに手を伸ばした。柔らかく、弾力があった。
(これが、女子高生の胸の感触……)
 考えながら、彼は悦に入った。四年前、触りたくても触れなかったそれを、ついに手に入れたのだ。
 亜佐美にそっくりなミサの顔を見て、康夫はさらに激しく貪りたい衝動に駆られてくる。再び彼女を押し倒すと、無我夢中で腰を振った。肉と肉がぶつかり合う音が、暗闇に響く。康夫は突き破らんばかりに腰を前後させ、握り潰さんばかりに乳房を揉み、引きちぎらんばかりに乳首を抓んだ。
「はぁはぁはぁ! あぁん! くはっ!」
 快楽に顔面を紅潮させ、ミサは喘ぎ声を噛み殺していた。
「あぁっ! い、イク!」
 彼女がそう叫んだとき、くわえていたハンカチが土の上に落ちる。
「お、俺も……!」
 康夫が膣からペニスを抜くと、先端から白濁液が迸った。上を向いた肉棒は、全ての欲望を解放するかのように、勢いよく精液を射出する。一定のリズムで押し出されたそれは、最初の一波が彼女の顔にまで達し、残りのほとんどをスカートの上に滴らせた。
 勢いよく脈打つ性器に、康夫は戸惑いながらも呼吸を整えようと試みた。ミサは痙攣したまま、呼吸を荒げている。
「ご、ごめん。大丈夫だった?」
「気持ち良かったよ。すごい飛んだね。さっきのオヤジとは大違い」
 ミサは嬉しそうに声を出して笑った。落としたハンカチを拾うと、それで顔と服を拭った。
「あ、ありがとう。気持ち良かったよ……」
 康夫はぎこちなく言った。
「うん、私も。すっごく良かった。このハンカチ、洗って返すね」
 彼女はハンカチをポケットにしまうと、ショーツを取り出し、目の前ではいた。白くて細い足が、するすると下着の穴を通っていく。
「ほ、本当に、良かったの?」
 射精後の倦怠感の中で、康夫は反省の念に駆られていた。
「えっ、何で? 気持ち良かったよ」
「いや、そうじゃなくて。その、君はまだ……」
 言いかけて、康夫は言葉を飲み込んだ。
「あー、そっちか。大丈夫だよ。私、こんな格好してるけど、本当は高校生じゃないから。じゃあ、今度会ったらこのハンカチ、返すね」
 それだけ言うと、ミサは颯爽と茂みから出た。
「えっ、あっ、ちょっと待って!」
 康夫は慌ててズボンを上げ、ベルトを締めたが、すでに彼女との距離は随分開いていた。
「じゃあ、また会おうね。牧村君!」
 ミサは軽快に走り去り、すぐに姿が見えなくなった。
 茫然自失の体で、康夫は彼女を見送った。
「牧村君……本当は高校生じゃない……?」
 狐に抓まれたような気持ちで、自らの下半身を眺めた。ズボンには、彼女のものと思われる、白い粘液がシミを作っている。
 四年越しの恋が、再び再燃する予感を覚えつつ、康夫は公園をあとにした。
初めはもっと、山なし、意味なし、オチなしの作品になる予定だった。しかし、何となく書いているうちに、ちょっとした人物像ができてきて、こういう形に仕上がった。作者としては満足でしたが、いかがだったでしょうか?
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