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朝、目を覚ましたルティはグレイの格好に驚いた。機能は格好良くスーツを着ていたのに、どうしてそんな格好に…。
第四十六話「変態船長」
ルティは開け放された窓から吹いてくる風に目を覚ました。上体を起こして周囲を見回す。全く知らない部屋だ。ルティはどうしてこんな所にいるのかと、まだ眠気の残る頭で考えてみる。
風に吹かれているうちにルティは思い出した。ここは父の買った巨大遊覧船だ。確か白金の鯨だとか言っていたような気がする。
とりあえずお腹が空いたので、ルティは服をベッドから下りて、すぐ近くにあるスーツケースから服を取り出して着替えた。
今ルティが来ているのは水色のポロシャツに濃い青の半ズボンに靴と靴下だ。着替え終わったルティはパジャマを丁寧に畳むとベッドの上に置いた。
その時、ゴージャスな部屋のこれまた芸術的な装飾の施された厚い扉が開かれた。振り向いたルティの視界に入ったのは扉から顔を出したグレイだった。船長帽を被っている。よほどこの船では船長だということをルティに主張したいらしい。
「お、起きたのか。今から朝飯だから起こそうと思ったんだよ。どうだ? 大食堂に行ってみるか? 広くていいぞー? いろんな料理を注文できるから早く来いよ」
「あ、うん。ちょっと顔洗うから待ってて。すぐに終わるから」
ルティは慌てて顔を洗ってからタオルで濡れた顔を拭いた。鏡に映った自分の姿には特に異常はない。強いていえば髪が少し乱れていることくらいだろうか。このままでもいいかと思ったが、ヘアブラシを手にして軽くブラッシングをしてから、戸口で待つグレイの所へ駆け寄っていく。
だがルティはそこでグレイの全身を見て硬直してしまった。固まっているルティをグレイは首を傾げて「?」マークを頭上に浮かべている。
「おい、どうしたんだ? 何でそんな怪物か異世界の生き物でも見たような顔してるんだよ?」
と、グレイはルティの肩をつかんで軽く揺さぶってやる。そこでルティは1歩引いてしまった。
「と、父さん。お風呂やその…アレ(セックス)をしている時じゃないのに、どうして服や下着を付けていないの?」
そこでグレイは全裸のままの自分を見つめているルティを見て、どうして硬直したのか納得したようだった。
「ああ。この格好ってセクシーだろ? 船長帽の他は靴と靴下だけだもんな! かっこいいだろ?」
と、言いながらセクシーポーズをとるグレイ。だがそう思っているのは父さんだけだよ、と言おうとしたが、拳骨で頭を殴られるかもしれないので胸の中で呟くだけにした。
確かに筋肉質の体は美しいといえるだろうが、朝っぱらから全裸というのはいかがなものだろうか、とルティはげんなりしながら服を着せる方法を考えてみた。
「あのさ、この船の中って結構涼しいし、そのままだと風邪引いちゃうよ? それにね、この船の中で働いている他の作業員の人たちに見られたらまずいんじゃないの?」
何とかいい案をひねりだしたが、グレイは首を左右に振って却下した。
「あいにくだが俺達が向かうのは南西諸島だ。これからどんどん暑くなるから一日中このままでも大丈夫だ。真冬ならまだしもこの程度の気温で風邪をひくほど俺はヤワじゃないさ。気温をある程度コントロールできるアイテムも持っているしな。あと客についてだが…この船に乗っている人間――いや知的生物というべきか――は俺とおまえの2人だけだ。作業員はゴーレム達だから見られても構わない。つまりこの格好でOKというわけだ。わかったか?」
言われてルティは、昨日船に乗った時に料理を部屋に運んできたのがベージュ色のゴーレムだったことを思い出していた。まさか乗組員全員がゴーレムとは…。
「そ、それじゃ船の操縦は誰がやっているの? 確かゴーレムって複雑な動作はできないんじゃなかったっけ?」
不安になったルティをグレイは安心させる。
「それも大丈夫だ。この船はただの船じゃない。現代の魔法と科学を結集させた特別な船だ。だから行き先さえ打ち込んでおけば、あとは自動でこの巨体を動かしてくれる。だからお前がそんなに顔を青ざめることはない。それに俺の裸が美しいといったのはお前なんだぞ?」
「え、そうだっけ?」
「そうだ。昨日の夜、俺の裸をべた褒めしていたじゃないか。覚えていないのか?」
「そ、そうなんだ。それじゃ最後の質問だけど…どうして父さんのソレはどんどん大きくなっていくの?」
ルティはグレイの陰茎がどんどん膨張して巨根になっていくのを指差して聞いてみる。
するとグレイは顔をしかめながら男根をつかんで言った。
「俺のことをまだ父さんと言う奴にお仕置きするためだよ。ルティ、昨日言ったよな? この船に乗っている限り、俺のことはキャプテン・グレイか、キャプテンと呼べって。罰としてお前にはこいつを手か口を使って鎮めてもらうぜ」
完全に勃起した巨根をグレイは片手でしごきながらルティの方にやってくる。
これは逆らわない方がいいとルティは思った。逃げることも考えたが、この部屋がいかに広くても他に通路や出口がないのだから意味はない。やむを得ず、ルティはグレイの肉棒を掴んでいる手の上に己の手を重ねて今思いついたことを試してみることにした。
「ねぇキャプテン。僕お腹空いちゃったんだ。だからサラダを頼むときに父さんのミルクをかけたらどんな味がするのか知りたいんだけど…今ここでやるんじゃなくって、食堂に行ってからでもいい? それとキャプテン・グレイのミルクのかかったクッキーとかも食べてみたんだけど」
いちかばちかで言ってみたルティをグレイは少しの間、まじまじと見ていたが、急に破顔して、ルティの金髪の頭を乱暴に撫でていく。
「お前はなかなかいいことを言うな。そうかそうか。そんなに俺のミルクが欲しいのか。それじゃ早速試してみよう。ほら、俺が運んでやるよ」
とたんに機嫌を治したグレイはルティの返事も待たずに大きな腕でひょいとつまみ上げるようにして抱かかえると、そのまますごい勢いでエレベーターの方まで走っていった。
グレイは褒められるとすぐに機嫌がよくなります。他人だったらここまでの効果はありませんがルティの言うことなら大抵はすぐに信用してしまうのです。
おかげで45話でルティが言ったことをグレイは忠実に守っているつもりです。でもいくら自分の体に自信があるからって全裸でうろつくなんて…どう考えても変態です。何を今更って気もしますが、ね。