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読者の皆さんお久し振りです。

作者は盆休み前後の出張に加え、盆休み中の体調不良と忙しさに感けて3週間近くも更新できなかったことを心よりお詫びいたします(泣)

次話こそは少しでも早く更新したいと思っておりますので、生暖かい目で見守ってください……(汗)

06:就任の儀
俺は壇上設けられた席に座る御前ジジィの前に辿り着くと、深い溜め息をつきながらジジィに一瞥をくれていた。

「なんじゃ、何か不満でもあるのか?」

「いえ、別に不満などはございません……」

「どの口がそのようなことを申すのじゃ?ぬしは露骨なほどに嫌な顔をしておるではないか。まぁ、ぬしの気持ちもわからぬでもないがの……」

「はぁ……」

「なんじゃ政影、如月家の当主になろうという者がまさか公式の行事が苦手ということはあるまいな?いつもの歯切れの良いぬしはどこへ行ったのかのぉ?ハッハッハッ!」

普段からイジられている腹癒せなのだろうか、ジジィは俺が公式行事を苦手にしていることを知っておきながら、ここぞとばかりに勝ち誇った顔を俺に向けて高笑いなんぞしていやがった。

『人が下手に出てりゃ調子に乗りやがって……その高笑いする顔面に零式ゼロしきでも叩き込んでやりたい気分だぜまったく。』

心の中で毒づいてはみたものの一族の長であるジジィに対して、公の場で邪険にする訳にもいかず俺はジジィに対する怒りを悶々とさせながらなんとかそれを理性で抑え込み、無理矢理という表現がぴったりなほどに引きつった作り笑いをジジィに向けていた。

「まぁ今宵はぬしが主役なのじゃから、このあたりで勘弁してやろうかのぉ……アッハッハッハッ!」

御前あなた、いい加減になさいませ。お集まりの皆さん方が待ちくたびれておいでですよ!それに政影さんに臍を曲げられてしまいましたら、お困りになるのは御前自身がよくご存知なのではございませんか?」

「ウッ……そのようなこと、そなたに言われずともわかっておる。このような機会もそうある訳ではないし、たまには良いではないか……」

トメさんに核心を突かれてしまったジジィは、先程までの横柄な態度を一変させながらと尻すぼみに元気を失っていた。さすがと言うべきか、彼女は半世紀近くもジジィの傍で鷲津一族を陰で支え続け、その実績から裏では影御前と揶揄されるほどの実力者であり、ジジィがこの世で唯一頭が上がらない存在だった。

「政影さん、あなたも如月家のご当主におなりになられたのですから、そろそろ公式行事にも慣れていただきませんと……私の申すことの意味、貴方ならご理解されておいでですよね?」

「はい、しばらく時間は掛かりそうですが、なんとか努力してみます……」

静かに返答を待っていたトメさんが満足そうに穏やかな笑顔を俺に向けた後、決して大きくはないものの会場内に凛として響き渡る声で皆に語り掛けていた。

「皆さん、長らくお待たせいたしました。鷲津一族の要である如月家に、12年振りとなるご当主をお迎えすることができました。今後とも皆様方には政影さんと共に力を合わせ、我が一族の繁栄をもたらすようご尽力していただきますこと、心よりお願いいたします。」

ジジィではなくトメさんから就任の儀の開式の挨拶を聞いた一同が、一斉に口を揃えて短く返事をし、着座したまま深々と頭を下げている。

「皆の者、面を上げるがよい。」

ジジィの偉そうな言葉によって一同が顔を上げると、皆が緊張した面持ちで隣に座るジジィに注目していた。それにしてもたった今トメさんにやられたばかりだというのに、厚顔無恥という言葉を地で行くこのジジィの立ち直りの速さに、俺はなかば呆れながら続く言葉を待つことにした。

「これから如月家の当主として、ぬしがどのような考えのもとに行動するのかを我等の前で申してみよ。このスピーチは代々、各家の当主が就任の儀にて行う所信表明なものなのじゃから心して話すがよい。」

「はぁ……」

ジジィの発言を聞いた俺はさきほど平蔵じっちゃんに言われたことを思い出し、生返事をして時間を稼ぎながら思考回路を全開にすると話す内容をまとめることにした。

「どうしたのじゃ?早う始めぬか。」

ジジィの催促に少々イラッとしたものの、場の雰囲気をシラケさせる訳にもいかなかった俺はゆっくりと、そして静かな口調で語り始めることにした。

「御前、私の所信表明をお聞きいただく前に、お集まりいただいた皆様方にお礼とお詫びをさせていただきたいのですが?」

「今宵の主役はお主じゃ。遠慮などせずに、言いたいことがあるのであれば、遠慮なく申すがよい。」

「御前のお心遣い、心より感謝いたします。」

ジジィに形ばかりの礼を言った俺は徐に席から立ち上がると、壇上から降りて最前列にある当主席や夫人席の間を歩き、続いて時期当主となる者達や各家の庶流庶派の者達が座る席も通り抜け、最後方にある一番厄介な席へと辿り着くと、振り返って再び語り始めることにした。(最後尾に席るお嬢様方とは極力目を合わさないようにして……)

「本日、私が如月家の当主に就任できたのも、会場こちらにお集まりいただいた皆様方のお力添えがあったからこそだと痛感しております。このような私を幼少の頃より何かと気に掛けていただき、父と兄が他界してからというもの、本当の息子や弟のように接していただいた皆様には、感謝の気持ちで言葉では言い表せられないほどでございます……月並みではございますがこの場を借り、これまでのご恩に対して心よりお礼を申し上げます……」

「あの政影殿が我等に頭を下げ、あのような物言いをするとは夢にも思わなんだわ。」

「あやつも如月家の男……あの先々代の政義様も普段は凡庸であったが、決める時は決めるお方であったではないか。」

「いや、まだ楽観はできぬであろう。政影は能力チカラに関しては目覚めたばかりだと聞き及んでおるし……」

礼を言い終えた俺の耳に所々で囁かれている声がざわめきに変わって届き、深々と下げた頭をゆっくりと上げて会場内に視線を一巡りさせると、目の前の席に座るお嬢様方は瞳を潤ませて俺を見つめる者、不満タラタラといった瞳で俺を凝視する者と、まさに両極端であった。

「あの泣き虫だったまぁ君が、このようにご立派になられるなんて……」

「椿さんと楓さん、お二方が感動されているところに水を差すようで申し訳ありませんが、私達はまぁ君の言葉に納得いたしかねますわっ!」

「そうよ、遥さんの言う通りだわっ!アイツの言葉の中に私達が存在しなかったしねっ!」

「……まぁ君やっちゃったねぇ〜♪……死ねばいいのに……」

ちょっと待て、当主の中にはいまだ俺の潜在能力に疑問を抱いている者がいても仕方がないことだと思う……しかしながら遥や香、そして静や雅については少なからず俺が公の場が苦手だと知っているはずだ。それなのに少し言葉が足りないぐらいで、言うに事欠いて『死ねばいい』なんてあんまりじゃないか?

「ほぉ、ぬしも人並みに挨拶ができるようになったみたいじゃのぉ。しかしながらまだ言葉が足りないようじゃな。『お礼とお詫び』、ぬしがそう申しておったろう?礼は聞いたのでそろそろ侘びを聞かせてもらいたいもんじゃ……」

俺はジジィの意地の悪い質問を流そうとしていたが状況がそれを許してはくれず、俺はただジジィの質問に答えることしかできないでいた。

約3週間振りの更新になります。

書こうと思いながらも更新ができず申し訳ないと思っておりました(泣)

しかしながら長期間書いていないと書き方を忘れるというか、かなり苦戦するものですね……(汗)

これからは少しでも早く更新したいと思っておりますにで、応援のほど宜しくお願いいたします(笑)



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