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何とか書き上がりました……(汗)
39:政影VS有村
俺はママさんから受け取った『霧雨』をゆっくりとした動きで鞘から抜くと、美しい曲線を描く鋼色の刀身が姿を現していた。外気に晒されたその美しい刀身には、不思議なことに氷の入ったグラスの表面によく見られる結露と呼ばれる現象が見られている。

『ヒュッ……』

俺が手にした『霧雨』を軽く振ると、刀身に付着していた雫が虹の弧を描いて飛散し、そしてその『霧雨』の軌道上には空気中の水分が一気に冷却されたようで、気体としての状態が保てず液体へと変化させると、キラキラと輝きながら帯状の軌跡を残している。

「ヘェ〜、妖刀って本当に実在するんだ。それにしてもよく錆び付かないものだよなぁ〜♪」

「いつも近くで見ていたのに……まさか霧雨があんな姿を見せるなんて知らなかったわ。」

「あのように鮮明に霧を発生させるなんて……さすがは如月家の血を引くお方ねぇ〜♪」

俺は『霧雨』が描き出した幻想的な光景に目を奪われつつも感心していると、冴子ちゃんとママさん、それぞれが別な意味で感嘆の声を漏らしていた。しかしながら有村にいたっては、嬉しそうな笑みを浮かべながら強烈な殺気を俺に向けて放っている。

「その『霧雨』の使いこなし……貴様、本当に如月家の人間らしいな。」

「だからどうした?如月家うちの実力を知っていながら、そんな殺気を放ちやがって……アンタもヤクザ者のくだらない自尊心プライドってヤツで早死にしたいタイプなのか?」

「フッ、言ってくれるじゃないか……確かに俺はヤクザではあるが、今は一武道家として強敵と戦いたいとい血が騒いでいるのだ。なんせ鬼神と呼ばれていた政義様の血を受継いでいる貴様が、俺の目の前に現れてくれたのだからな。」

「…………ママさん、冴子ちゃん、少しばかり俺から離れててくれないか?」

『シュッ!』

ママさんたちが俺たちの間合いから安全な場所へと移動したことを確認した有村は、有無を言わさず『時雨』を薙ぎ払い、先程の『斬撃波』を放ちながら俺との間合いを一気に詰めている。

「チッ……」

『斬撃波』の威力やスピード自体、先程とさほど変わりはなかったが、予想していた以上に有村の動きが素早く、目測では『斬撃波』が俺に到達すると同時に有村は『時雨』を打ち込んでくるだろう。防御系の気など練っている時間はないと瞬時に判断した俺は、舌打ちをしながらも咄嗟に『霧雨』を横に薙ぎ払い『斬撃波』を放っていた。

『ガキィーーーンッ!』

「ガハァ―ーッ……」

エントランスホール全体に金属音が鳴り響き、俺が放った『斬撃波』を真正面から受け止めていた有村が苦しそうに呻き声を上げている。例えカウンター気味に入ったとはいえ有村はガードをしていたし、何より『斬撃波』は相手を牽制するための技であって、ボクシングで言えばジャブ程度の役割でしかないはずなのだ。しかしあの破壊力はなんだ?『斬撃波』を放った当の本人である俺が一番焦っていたに違いない……


「信じられない……いくら霧雨によって気を増幅させたとしても、政義様ですらあんな斬撃波を放ったことはないわ。政影君、あなたはどれほどの気を内に秘めているの……?」

俺に説明するかのように問い掛けていたママさんの言葉によって、おおよそのことを理解した俺は彼女に答えることもなく、手傷を負いながらも戦意を喪失するどころか、さらに激しく命の炎を燃やす有村と対峙していた。

「有村、アンタかなりの意地っ張りだなぁ……さすが須藤の兄貴分だけはある。」

「隆司はアンタにやられたのか。ヤツは生きているのか?」

「あぁ、生きてるぜ。あんな優秀な人材を俺が殺すかよっ!今頃は病院のベッドの上で綺麗どころに囲まれ、いい夢でも見ているはずだ。悪いことは言わん、アンタも意地を張らずに降参してはどうだ?俺は無益な争いなんてしたくはないしな……」

「確かにアンタは政義様より強いかもしれない……しかし如月家の当主様がそんな甘っちょろいことを言ってもいいのか?それに久し振りに会う師匠と兄弟子に、無様な姿だけを晒すわけにはいかないからな。」

さすが日本一と呼ばれる『総和会』のNO2……この圧倒的に不利な状況にありながらも、周囲の状況を伺える洞察力を備えている。今後の鷲津一族において、有村という男が必要不可欠であると判断した俺は、彼に武道家としての最大限の敬意を払うため言い放った。

「いくら俺が説得しようとも、言葉でアンタを跪かせることはできないだろう?だから俺は武道家として、如月家の力をもってアンタに屈してもらうことにした。ちなみにこれから俺が放つ技はな、アンタ等が知ってる祖父様ですら習得できなかった技なんだ……かなりキツイが覚悟しなっ!」

有村と物陰に潜む得体の知れない人物に向けて言い終えた俺は、逆方向の物陰に潜む身内二人に、『あとは任せた!』と言わんばかりの視線を送り、『零式ゼロしき』を放つための準備を始めていた……

作者的に6月はスムーズに更新していたつもりでしたが、月末になって何故か文章が書けなくなってしまいました……(泣)

読者の皆様方に忘れられないように更新していきたいと思っておりますので、これからもご愛読のほど宜しくお願いいたします。


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