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昨夜、投稿しようとしてたのに爆睡してしまいました……(^_^;)

期待していただいている?読者の皆様方にお詫びを兼ねて今回はほんの少しだけ長めです。これからもご愛読のほどよろしくお願いしますねっ!\(^ー^)/
39:ふたつの頼み事と……
険しい表情でジジィがビールで串揚げを流し込んでいたので、俺がグラスにビールを注いでやっていると俺に問いかけてくる……

「政影、その工場とやらはもしや……」

「ああ、ジジィの予想通りだ。経営センスの欠片もないあいつ等のやりそうなことじゃないか。ヤツ等の番頭的存在の北大路家のオッサンも、なまじ生真面目なだけに苦悩しているだろうな……」

「へいお待ちっ、焼きがあがりやした。」

俺が侮蔑するかのような顔でジジィに答えていると、マスター(弟)が威勢よくカウンター越しに焼き鳥を差し出してきた。

「ほお、これはどうやって食すのじゃ?同じ具材みたいじゃが色が違うのぉ……」

「これはな、さっきの串揚げと違いそのまま食うんだ。色の違いは味付けの違いで塩味とタレ味とがあって、アンタの好みは予測ができたけど両方頼んでみた……さぁ遠慮せずに食べ比べてみろよ。」

俺は焼き鳥の食い方と味付けの違いを説明すると、食べ比べさせるために皿をジジィの方へと押しやった。

「ハムッ……じつに美味いっ!このタレはかなり寝かし込んでおるようじゃのぉ?濃厚なだけでなく深い味わいを感じるわ。ハグッ……これまた美味いっ!塩ひと振りで素材の持つ味のすべてを引出しておるわ……」

「ありがとうございやす……旦那のおっしゃる通りうちのタレはあっしが修行しておりやした店から独立する際に師匠が分けてくれた物でして、師匠の代から30年間使い込んでおりやす。塩は伯方から取寄せておりやす。」

ジジィがマスター(弟)の出す焼き鳥を絶賛しながら解説していると、マスター(弟)が補足するかのように説明していた。

「このように美味いものを出しておるのに店をたたんでしまうとは実に惜しいのぉ……」

「ご隠居さん、そんな顔をなさらずに楽しく飲みましょうよ〜♪」

ジジィが閉店してしまうことを本当に悔しそうに呟いていると、ママさん(妹)が明るく笑いながら空になったジジィのグラスへビールを注いでいた。

「ジジィ、あんたの気持もわからんでもない。安い素材を工夫し、手間をかけたりしてこのような美味い物を作り出す努力と、そして懸命に働いている人々の生活をヤツ等のいい加減な経営と保身のため簡単にチャラにされるなんて身内として本当にムカつくよな……フゥ〜〜」

俺はマスターたちやこの店に来ている客たちの生活を一瞬にして奪う無能な身内に毒づいていると、ジジィがいつになく神妙な面持ちで俺に語りかけてきた……

「政影よ、突然の話じゃがワシの養子として鷲津家うちへこぬか?お前の能力チカラと技、そしてなによりバブル崩壊後にも関わらず、お前が経営する数多くの関連企業に赤字に転落した企業がないという経営手腕を買ってのことじゃが……」

「本当に突然だな……そんなことしたら如月家うちはどうなるんだ。また当主不在になっちまうだろっ!イヤだ……」

「政影の好色振りはわしの耳にも入っておるわ!確実にお前は子沢山になるじゃろうからその子逹に鷲津、如月の両家を継がせればよいのじゃよ……ハッハッハッハッ」

「てめぇ……なに人を種馬あつかいしていやがるんだよっ!」

「わしはな、鷲津の家をお前に返したいのじゃ。まぁ今すぐ返答しろとは言わんから頭の片隅にでも置いておくのじゃな。」

俺はジジィの申し出を断ると初めて聞く話しに興味を持ち、短く問いかけながら空になったビール瓶を持ち上げてママさんに焼酎を頼み、ジジィは日本酒を注文している。

「返すだと?」

「ママさん、腹も膨らんできたことだし焼酎のお湯割りで頼むよっ!」

「わしは日本酒を熱燗でお願いする。」

「はぁ〜いっ♪」

しばらくしてママさん(妹)が注文していた焼酎と日本酒を持ってくると、ジジィに酌をすると奥へと消えていった。

ジジィはお猪口に溢れている熱燗を一息で飲み干すと、俺から酌を受けながら少し俯いて話し始めていた……

「本来、鷲津家はお前の祖父であり、わしの兄である政義まさよし兄さんが婿に入り継ぐ予定だったのじゃよ……」

「じゃあ何故その予定というやつが変わってしまったんだ?」

俺は焼酎のお湯割りのおかわりを作りながらジジィに聞いていた。

「政義兄さんは、トメとの婚儀が決まっておるにも関わらず、一族外の女性と結婚することを宣言したんじゃよ。兄さんはあの時代に生まれたわりには珍しい人じゃった。そう、まるで今のお前のような自由人じゃったからのぉ……」

「俺はなんとなくわかるぜ。その時の政義じいさん」の気持ちがな……」

「お前に何がわかると言うのじゃ?」

「恐らく、アンタほどこの一族の皆の幸せを願っている人間はいないからな。まっ、ズレまくっていることも多々あるがな……政義じいさんとやらもそれに気づいていたんだろうな。」

二人で話しているうちにジジィの瞳に光る物があり、俺は1万円札をカウンターに置くとマスターたちに挨拶をすると店を後にした……

「夜風が気持ちいことだしたまには歩いて帰るか?」

「そうじゃな。」


※※※※※※※※※※※


俺たちは店を出ると、少しばかりフラついているジジィと並んで歩いていた。

「ジジィ、酔っ払ったか?」

「なんの、まだまだ大丈夫じゃっ!」

ジジィがフラつきながら強がって答えるのを聞いて俺は話しを進めていた。

「店では話せなかったが、ふたつほどジジィに頼みがある……」

「なんじゃ、お前らしくないのぅ……ハッキリと申してみよ。」

平蔵じっちゃんから俺の能力チカラの話しは聞いたか?」

「聞いておる。通常、能力というものはある程度の範囲内でしか使用できないにも関わらず、お前のそれは距離など関係ないみたいじゃな。神薙に聞いてワシも驚いて調べてみたが、そのような能力は長い歴史のある我が一族の文献にも載っておらなんだわ……」

「ジジィ、歴史は為政者によって都合よく作り変えられるもんだぜ。能力チカラをもった人間は我々だけじゃないと俺は確信しているんだ……」

「なんじゃとっ!?そのような話しは聞いたこともないっ!お前が確信したという根拠はなんじゃ?」

俺の話を聞いていたジジィが俄かには信じられないといった表情で俺の顔を覗き込んでいたが、かなりキモいシュチエーションであったため俺は顔を反らしながら説明した。

「まだ誰とはわからないから『ソイツ』としておこうか。俺は能力で誰が何処にいようとも意識が読めると思っていたのだけど、ある時ちょっと調べたいことがあって意識をたどっていたら『ソイツ』に辿り着いたんだ。まぁ正確には2,3歩手前ってとこかな……」

「2,3歩手前とはどおゆうことじゃ?」

「それは『ソイツ』がさっきジジィが教えてくれた『結界』とやらを張って自分に辿り着かせないようにしているからだ。まぁ『ソイツ』も俺や身近な人を辿って意識を読もうとしているみたいだけど俺も結界を張ってるからねぇ〜♪」

「俄かには信じがたいが、お前がそお言うのであれば間違いなく事実であろう。お前はワシにその者の素性を調べろと言うのじゃな?」

「アンタ馬鹿か?俺がわからないのにジジィにわかるはずがないだろう。俺が頼みたいのは鷲津の真実の歴史を調べてもらいたいんだ。これだけ似た能力なのだからその辺から調べるのが早いと思ってな。」

「馬鹿とはなんじゃ馬鹿とはっ!お前ってやつはワシをなんだと思っておるのじゃまったく……お前の当主就任式が終わり次第、歴史学者である綾波に調査に向かわせることにしよう。もうひとつの頼みごととはなんじゃ?」

俺の軽口によって暗がりでもわかるほど酔いではなく、怒りによって顔を赤らめて俺に怒鳴りつけているジジィだったが俺の頼みごとを快く?引受けると、もうひとつの頼みごとを俺に問いかけてきた。

「『飛龍ひりゅう』……俺だけのために3年もの月日をかけて作ってくれた椿姉さんには悪いんだけど、刀の強度をもっと上げて欲しいんだ。実践ではまだ『零式ゼロしき』を使うつもりはないけど、他の技もあることだし現場で不安を抱えていたくはないんだよな……」


「わかった、椿にはわしから申しつけておく。九条の研究所で強度が上げることが無理であるのなら、彼女にもう一度エディンバラ公のもとに行ってもらわねばならんのぉ……」

俺が飛龍の強度を上げることを頼むと、ジジィは日本に帰ってきたばかりの椿姉さんに、再びロンドンへ戻ることを命じなければならないことを苦悩するかのように答えていた……

「話はそれだけだ。ジジィ、とっとと帰るぞ!」

「政影、ちょっと待て……痛っ!」

しばらく考え事をしていたらしいジジィは俺が声をかけると、短い声をあげて座り込んでしまっている。

「ジジィどうした?」

「そこの段差で足首を挫いてしまったのじゃ。年はとりたくないのぉ……」

俺はジジィの傍にしゃがみこんで聞くと、いつになく弱気な発言をする彼に背を向けて乗るように促し、ジジィは少し躊躇いながらも短く詫びて俺の背中に乗っていた。

「ほらっ、さっさと乗れ!」

「すまんのぉ……」

俺が背負っている老人……ガキの頃の記憶ではガタイも良く、威厳に充ち溢れて近づき難い人物であったのだが、俺は年齢というより一族の総帥としての責任感から精神的に追い詰められてやせ細ってしまったような気がしていた……

「すまんのぉ政影……」

「こんなこと俺は気にしちゃいねぇからジジィも気にするなっ!」

「違うのじゃ。お前には今まで辛い思いばかりさせてきてしもうた……政秀や政明の事故もワシが仕事を頼んだばかりに起きてしもうた。お前がわしを『ジジィ』と呼ぶようになったあの一件のこともそうじゃ……こんな無能のわしを許してくれ……グッ」

俺は背中越しに温かいもの感じるとしばらく黙りこんだ後、声を殺して泣いているジジィに穏やかに語りかけた。

「ジジィ、アンタが父さん達が亡くなった日から今まで、一日も欠かさず心の中で悲痛な思いで俺に詫びていたよな……あの件だって俺を大事に思っていたからこそ出てしまったジジィらしくない失言だったし……それに許すもなにも俺はアンタを恨んじゃいないし、父さん達の件は事故ではなく仕組まれたものだったのだからジジィが俺に詫びる必要なんてねぇよ。」

「早く帰らないとトメさんが心配するから走って帰るぞっ!しっかりと俺につかまっていてくれよな、『じいちゃん』……」















ようやく次回で第一章が終わる目処が勃ちました……(^_^;)


投稿した日には多くの方々に読んで戴いているはずなのに、感想すらないのは寂しい限りですねぇ……(>_<)


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