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19:茂三さん&タキさん
屋敷を出る時は星空が広がっていた空も今ではだいぶ明るくなり、あたりにはまばらではあるが人の姿が見えるようになっていた。

俺たちは運動公園からジョギングで屋敷へと向かい、門前に差し掛かったところで庭ほうきを手にして掃除をする老人を目にすると挨拶を交わした。

「おはよう茂三さん、朝早くから精が出るねっ!」

「……おはよう……茂三さん……」

「これはこれは政影様、雅様おはようございます。雅様とご一緒に朝の鍛練でございますか?」

俺の挨拶に笑顔で答えるこの老人は【茂三さん 68歳】如月家うちに俺の祖父から三代に渡って仕える勤続50年になるベテラン侍従長であり、タキさんの夫でもある。侍従長といっても如月家が経営する多くの企業の取締役という肩書きをも持っている。

「あぁ、それより朝早くから悪いんだけどさぁ……茂三さんに頼みたいことがあるんだけど……」

俺がバツが悪そうな顔をしながら歯切れの悪い言葉で茂三さんに聞いてみた。

「昨夜のガラスがの割れた音と何かが大破した音の後始末をこの私めに頼みたいと?」

「あぁ、解っているのなら話が早い、なんとか早めに修理を頼むよ。修理代の請求書は草薙と神薙の家に回しといても構わないからさぁ……」

俺は隣にいる雅から『あなたが悪いんでしょっ!』と言いたげな雅の抗議の視線を感じながらもあえて無視して茂三さんに頼み込んでいる。

「……まぁ君……悪い……」

「なんとっ!雅様はあの破壊音の原因は政影様にあると言われるのですね?そのような理由でしたら草薙様や神薙様に修理代をいただく訳にはまいりませぬので今回は政影様のポケットマネーにて修理することに致しましょう。政影様、2日ほどお時間をくださいませ。」

「はいぃーっ!?」

「……ありがとう……茂三さん♪……」

「いえいえ、どういたしまして雅様。」

もしもーし、茂三さんあなたは主人である俺の意見も聞かないで他家の娘である雅を信用するんですかぁ?わざとらしいオーバーリアクションで笑いながら話しているし、雅には微笑んでるし……

「……そうみたいねっ!♪……」

俺の心を読んで言った雅の言葉を聞き、少しづつ変わりはじめた雅の姿を見て俺は嬉しさを感じながらも、このような仕打ちに納得ができるはずもなく俺はブツブツと言いながら風呂場へと向かっていた。

俺は風呂から上がると侍女に届けさせていたビールを一気に煽るとバスタオルで頭を拭きながらメインダイニングへと続く廊下を歩いていると、途中 瞳と擦れ違ったものの彼女は俺に形式的な挨拶をするとそそくさと走り去ってしまい、俺は寂しげに瞳の後ろ姿を見送ると昨夜の楓姉さんがよほど恐ろしかったに違いないと彼女を不憫に思いながらメインダイニングの扉を開いていた。

「おはようございます政影様。」

「あぁ、おはようタキさん(微笑)いきなり大人数になっちゃって申し訳ないね。」

俺が挨拶を交わした老女は【タキさん 68歳】彼女は如月家うちの侍女長であり先ほどの茂三さんの妻で、御前ジジィの妻であるトメさんとは幼馴染みの間柄である。彼女は鷲津一族内でもかなり顔が利きくらしく、俺は彼女がジジィを一喝している場面に何度も遭遇して恐怖を感じる女性ではあるが、あくまで鷲津一族と如月家を想ってのことと理解はしているが……

「政影様が私のような者にそのようなお気遣いをされる必要はございません。政影様は幼少の頃よりいつもお一人で寂しくお食事をされておられるのを拝見していることの辛さに比べれば容易いことにございます……)」

年をとったせいか涙脆くなったタキさんは俺のガキの頃のことを思い出しながら泣いている。

「そうか……タキさん、飯は皆で食うほうが旨いに決まってるよなっ!じゃあ今日からは如月家うちでは俺がいる時には皆で一緒に飯を食うことにしようっ!」

「まっ、政影様それは……身分と言うものが違い過ぎまするっ!」

「よしっ!そうと決まれば話が早い。裕子、マイクを持って来いっ!♪」

「はいっ!」

俺はタキさんの言いたい事も解らない訳ではないがこの12年間、客人がいないとこのただっ広いメインダイニングで1人で飯を食うことの寂しさを解放するため、小気味良い返事をした裕子からマイクを受け取ると放心状態にいるタキさんを横目に朝食を済ませていない手空きの者を館内放送にて呼び出していた……
最近18禁小説らしくないと思って一般小説へ転載しようと考えているへタレ作者です……(泣)


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