警告
この作品は<R-18>です。
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迷路の虜囚 ~ 過し日との邂逅26
「そんなカッコつけなくても…おれしか居ないんだし…」
クラウスが悪態をつくと、男はぱっと明るい表情になった。
「自然に動いているつもりだけど…クラウスにはそう見えたのか…」
嬉しそうに呟くと、人懐っこい笑顔を向ける。
「案外、俺もまだイケルのかもな」
軽々しい言葉。
険しい顔をしていたクラウスの表情が、更に険悪になる。
頭も心も冷えてきた。
冷静な思考力が戻ってくる。
…こんなヤツがおれの力に本当になるっていうのだろうか。
…やっぱり思い過ごしのような気がする。
…レナトゥスくらい大きければ、騙されたり罠にハメられたりしても、悔しいけどしょうがないって思えるけど。
…一時でもこんなヤツに熱を上げたなんて…それで騙されたなんて…何だか自分で自分が情けなくなる。
…おれ最大の汚点だな。
…どんな意図があるのか判らないけど。
…またおれを騙そうとしているのかも知れないな。
…追い出した方が身軽に動けるかも。
…関わると面倒だから、適当なことを言って追い出すか。
「言いたい事はそれだけですか?」
クラウスが呆れた目で男を見つめると、男はクラウスが何を考えているのか判ったのか慌てた顔をする。
「ちょっと待った…追い出さないでくれ。素直な感想を言っただけなんだから…それに騙そうなんて思っていない。だから、少し俺の話を聞いてくれ」
必死で男は言う。含んだところはない。
それに、尊敬する部分はひとかけらも見当たらないが、彼には憎めない部分があることも確かだ。
自分の持つ弱さと同じ弱さを彼も持っている。
そんな風に感じてしまう、何かが。
それに心の声に素直に従おう。そう決意したのは自分だ。
たぶん何らかの手がかりを男は持っている。
それが判ってから追い出したければ追い出せばいいだろう。
気は乗らないが、クラウスは自分で自分を説得した。
「いいですよ」
クラウスは、ため息をつきつつ言った。
男はクラウスの言葉を聞いてホッとした顔をする。
「良かった。ずっと、どうしているかなって思ってたんだ…言わなきゃならない事があったから…」
「いまは何をされているんですか」
謝罪をされそうな気がした。
もちろん謝ってもらいたい気持ちもある。
だけど、男のしゃべりは要領を得ておらず、そこまで辿り着くのにどれだけ時間がかかるのか判ったものではない。
現状を正しく把握するため、クラウスは彼が答えやすそうな話を振り話の主導権を握ることにした。
「商人だよ」
「商人?!」
意外な答えにクラウスは驚いた。
「そう。貴金属を扱っている。俺をヒイキにしてくれる人の中に宝飾品を扱っている人がいて…さ。
安く卸してくれるって訳。大口の客が数人ついているから。
まぁ、いまはそこそこ安定した暮らしが出来ている。
探しているものがあったら、融通できるから言ってくれよ。お前には大きな借りがあるからな」
そこまで言うと男は、クラウスの足元に膝まづき土下座をする。
「まずはお前に謝らせてくれ。クラウス。悪かった」
「ちょっ…ちょっと、ラルフ。何やってんだ」
「謝って謝りきれるものではないが…それでも、謝ることしか出来ない…」
男の声は少し湿っていた。後悔しているようだ。それを目の当たりにして、クラウスは戸惑う。てっきり騙されカモにされたと思ったのだが…実はそうじゃなかったのだろうか。
そのまま男は土下座したまま黙っていた。
彼の背中は細かく震えていた。泣いているみたいだった。
しばしして、男はようやく声を絞り出した。
「確かに俺はヤバイことに首を突っ込んだけど…お前にまで被害が行くとは思ってなかったんだ」
「被害って…おれはアンタの作った借金の形に売られたんじゃなかったのか」
「そういう話になったらしいな。後で街に戻って着て話を聞いた。だが本当はそうじゃない」
「そう…じゃない?」
「ああ。こんな話をしても信じないかもしれないけれど。お前を捕らえたヤツは、賭け事で…
俺との勝負で大負けしたヤツだ。お前を捕らえて売ったのは、たぶん腹いせだ。
恐らく自分の借金をお前に背負わせた。俺はこんな風にトバッチリが行くとは思ってなかった。
俺が消えれば問題はなくなると思っていた。俺が甘かったんだ。…本当に悪かった」
今日はここまでです。
おしゃべりなキャラの話が止まらなくてまとめるのに四苦八苦中。
おかしいな…もう少し進んでいる筈だったのに…orz
でもこれでも元はもっと長かったので、クラウスに途中を端折ってもらいました(^^;)
つづきは明日です。
もう少し簡潔に話をするようにラルフには指導します(爆)
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