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この作品は<R-18>です。
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迷路の虜囚 ~ 過し日との邂逅30
「あなたは本当に優しい」
クラウスが素直に思った気持ちを言葉にすると、ラルフは顔を赤くし慌てて口を開く。
「そんな風に言われると照れるな…俺はこんな力を持ってるから情に流され易いが、流される相手は選んでいるつもりだ。誰にでも、こうなるわけじゃない。下心ありだよ。だから、気にすることはない」
ラルフはそう言うが、言葉の通りに受け取ることは出来ない。
第一、下心ある人がこんな事をいうだろか。
それに、レナトゥスの事が判っているラルフがこの場所に来るメリットなどない。
どちらかと言えば自分が危機に陥る可能性だってある。
照れてそう言ったと判断することしか出来ない。
案外可愛い人なんだな…クラウスは思った。
それにこんな風に反応されると、からかいたくなる。
「ありがとうございます」
半分は感謝の気持ちを込めて言うと、ラルフは更に顔を赤くした。
反論しようと口を開くが声は出ず、彼は動揺をごまかすように小さく咳払いをした。
「そんな風にからかわないでくれ。それより…」
言いながら、真面目な顔つきになる。
周囲を見回し、ラルフは目を眇めた。
部屋の中を観察しているようでいて、もっと遠くの場所まで見渡しているようだ。
「これからの話をしたい。そろそろ、時間に余裕はないだろうから」
「そうですね…まず確認させて下さい。おれがこの場所から出られないのって本当ですか?」
「本当かどうかは判らないが…さっき、何か術を使っただろう。その力の軌跡が歪んでいた」
ザムゾンに手渡された紙の存在を思い出し、クラウスは仕舞った袋を持ってくる。
中から紙片を取り出し、ラルフに見せる。
「これですか」
ラルフは恭しく受け取り、中に書かれた文字を見た。
「この呪いの文字は知っている。よく神殿でも使われていた。簡単、単純。それでいて、確実な術だ。クラウスの力と他の誰かの力がこもっているな。これ、出そうと思っていたんだよな。今でもそうか?」
「ええ…できれば」
「じゃあ。まず自分で試しにやってごらん。窓の隙間から紙片を載せた手を出すんだ」
ラルフは軽くいい、窓を指し示す。
彼のことを今となってはほとんど信じているが、自分が閉じ込められている自覚がないのも確かだ。
それを立証しようというのだろう。
クラウスは半分開いた窓から手を出そうとした。
だが、何らかの抵抗感があって、窓の先に手は行かない。
手の中の紙片も、手の平の上でふわりふわりと舞うが外に飛び出す様子はなかった。
「やっぱりダメみたい…」
「判った。俺がやるよ」
ラルフは笑顔でウィンクをすると、クラウスの手から紙片を取り出した。
自らのてのひらに乗せると、何の抵抗もなく手が窓の外に出る。
次の瞬間には手の中から紙片は消えていた。
あっという間の出来事でクラウスの目では追えなかった。
でも自分の手で出来なかった事がラルフにも出来た。
何よりクラウスは、開いた窓から外側に出ることが出来ない。
手だけではない、身を乗り出して僅かでも外の空気に触れようとしても、見えない壁に遮られていて、体も動かない。
やはりクラウスはこの場所に幽閉されているのだ。
「これで連絡は行った」
「みんなは、ここまで来れるでしょうか」
不安がつい口をついて出てしまう。
ラルフは慈愛に満ちた目でクラウスを見つめた。
「そのための俺だよ。今の術でこの辺りにクラウスが居ることは判っただろうが…
この屋敷には色々仕掛けがされているみたいだからね。力に反応して発動する術もある。
今から俺が力の影響を受けないようルートを作って屋敷から出て行くから、お前の連れの居る場所を教えてくれ」
「そんな事…出来るのですか?」
「出来るというか、出来るようになったというか…力が無いなら無いなりの動き方もあるって事だ。
まぁ神殿から出てから習得した技術だけどな」
ちょっと息切れ気味…でも何とか更新~~
続きは明日です。
明日で今週は終わりです。
ラルフ編もやっと一区切り。
おかしいな…もう少し早く次のシーンに行ってるはずだったのに。
見込みが甘いのは、いつものことか。
何はともあれ、ガンバリマス。
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