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09 麻衣と千雨
教室に戻ったら麻衣と逃げ出した事を突っ込まれるだろう。
なんて理由をつけて誤魔化そうか。
考えながらゆっくりと歩く。
だいたい担任の先生が最初から俺を麻衣が義理の兄妹だという事を話してすれれば、面倒な事もなかったものを。
いい理由が浮かばないまま、教室のドアを恐る恐る開ける。

「あ、純平。お前、麻衣ちゃんと兄妹なんだって?」

「隠さないで言えよー。」

「・・・え?ああ、ごめん。実はそうなんだ。」

教室は騒ぎになる事なく、落ち着いた雰囲気を取り戻していた。

「純平がちゃんと説明しないから、私が説明する羽目になったじゃない。」

「千雨がみんなに言ってくれたんだ。助かった。」

「っとに!ちゃんとしなさいよ。」

「悪い、悪い。」

いつもはでしゃばりの千雨に困る所だが、今日の所は助けられた格好になった。
帰り支度を済ますと、俺と麻衣は千雨と一緒に帰る事にした。

「麻衣ちゃん、これからよろしくね。」

「うん、よろしく。千雨さん。」

「ちょっとちょっと。“千雨さん”なんて止めてよー。千雨でいいよ。」

「え、うん。じゃあ私も麻衣でいいから。」

「分かった。」

馴れ馴れしいのか、サバサバしてるのか。
千雨の勢いに麻衣は圧倒されてるような感じだ。

「千雨・・・は、純平と仲いいんだね。」

「仲いい?いやいや・・・腐れ縁みたいなものよ。」

圧倒されてると思ったのは俺の気のせい。
麻衣は千雨とも物怖じしない様子で普通に会話していた。
同じ歳だし、考えてみれば当たり前の事か。

「純平が言ってた通りの人だね。」

麻衣が俺に耳打ちするように言ってきた。

「だろ。ちょっとうるさいけど。」

「何2人でコソコソ話してるのよ。」

「千雨がうるさいって言ってんの。」

「そ、そんな事言ってないから。」

「純平!あんたねー。」

誰とでも仲良く出来るのは千雨の性格が成せる技。
初めてとは思えない程、千雨は溶け込んで話してた。

「何か分からない事あったら、何でも聞いてね。」

「ありがとう。」

家の前で最後にそう伝えると、無事に麻衣の転校初日を終える事となった。

「ああ、疲れちゃった。」

「だろうな。ゆっくり休みなよ。」

「ねぇ?純平。」

「何?」

帰ってくる早々、何か言いたげな麻衣。

「・・・付き合ってるの?」

「えっ!まさか。」

即否定すると、麻衣も俺が言ってる事に偽りがないと分かったようだ。

「何で?」

「すごく仲良さそうだったから。」

「小さい頃から一緒だったからな。」

「ふーん。」

何も知らない麻衣から見たら、俺と千雨はそんな風に見えたのだろうか。
麻衣が妬いてるように見えたのは気のせい?

「そうだ。それよりも私に学校の事教えてよ。」

「え?ああ、うん。」

すぐに話題を切り替える麻衣を見ると、自惚れも大概にしないといけないと自己嫌悪していた。


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