警告
この作品は<R-18>です。
18歳未満の方は
移動してください。
79 ミス葵高
トン!・・・カン!・・・トン!・・・カン!・・・
旧校舎の教室内。
文化祭の看板の作成の為にトンカチを打つ音が鳴り響いていた。
残暑が厳しい中、額には汗を滲ませながら懸命に作業する。
「紺野君、うまくいってる?」
「あ、はい。大丈夫だと思います。」
慣れないトンカチ。
3年生の先輩に心配されながらも、何とかこなしていた。
「純平ー。」
俺を呼ぶ聞き慣れた声。
振り向くと麻衣が笑顔で手を振っている。
「ちゃんとやってるか見に来たよ。」
「真面目にやってるに決まってるだろー。」
「そうみたいだね。」
周りの目を気にしながらも俺の側に寄って来た。
「麻衣はこんなトコ、見に来てていいのか?」
「うん。今はちょっと休憩中。・・・千雨は?」
「千雨はパンフレットとか作ってるんじゃね?ここにはいないよ。」
「そっか・・・ずっと一緒って訳じゃないんだね。」
ホッとした表情に見えたのは見間違いじゃないだろう。
もしかして一緒に実行委員をする羽目になった俺と千雨が心配だったんだろうか。
「純平がやるなら私やればよかったなぁ。」
「何言ってんだよ。すっげぇ面倒臭いんだぜ。」
「・・・でも、一緒に帰ったり出来るじゃない。」
聞こえないように小さな声で呟く麻衣。
耳を疑う嬉しい言葉に、思わず顔も笑みが零れる。
「あー!麻衣ちゃん。」
隣のクラスの実行委員が麻衣に話しかけてきた。
「こんにちは。」
「何々?純平に用事?」
「そうそう。しっかりやってるかチェックしに来たんだよ。」
転校してきて、ずいぶんと時間も経っていた。
学校では知らない人がいないぐらい人気者になっていた。
「そう言えばさ、ミス葵学園。俺、麻衣ちゃんに入れといたから。」
「そ、そうなんだ。ありがと。」
「麻衣ちゃんなら絶対グランプリだって。」
「う、うん。」
苦笑いを浮かべる所を見ると、本音は嬉しくはないのだろう。
それだけ言うと去って行った。
「困ったなぁ。」
「ミス葵学園が?」
「うん。本当に選ばれたら嫌だな。」
毎年行われる文化祭のミス葵学園。
もちろん、男の方のミスター葵学園もある。
生徒からの投票によって各学年から1名づつ選出される文化祭の目玉行事の1つだ。
「人気者は辛いな。」
「止めてよ!そんな風に言うの。」
「ははは。」
からかうと本気で困る麻衣。
女子なら誰でも嬉しがる栄冠に思えていたが、嫌がる所が麻衣らしいような気がした。
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。