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69 裸
由衣のいる場所まで、一時も休む事なく走っていた。

「由衣!・・・はぁはぁ・・・大丈・・・夫か?・・・はぁはぁ・・・。」

「お兄ちゃん。」

今にも泣きそうな顔で俺を見る由衣。
心細かったに違いない。

「本屋さんに行ったんだけど、何だかフラフラしてきて・・・ごめんなさい。」

「いいんだって。思ったより大丈夫そうで良かった。」

座っていた由衣が立ち上がる。

「あっ・・・。」

まだフラフラと足元がおぼつかない。
いったいどうしたんだろう。
熱中症にでもなったのだろうか?
この日は日中からかなり厳しい暑さだった。

「本屋さんの中、クーラーすごい効いてて・・・。」

「外と中の温度差で具合悪くしちゃったかもしれないな。」

「そうかも・・・。」

トボトボと歩き始めたのだが、無理して歩く由衣が痛々しい。
途中でタクシーを拾って帰る事にした。

「ごめんね、お兄ちゃん。」

「気にすんなって。」

タクシーの中でも終始謝る由衣。
家に着くととりあえず俺も一安心した。

「体・・・ベタベタ。」

「シャワーだけでも浴びてから休んだ方がいいかもな。」

「・・・うん。」

由衣は汗でベタベタの体をすっきりしようと風呂場に向かう。
大した事なくてホッとした俺はリビングで由衣がシャワーから上がって来るのを待っていた。

「・・・。」

10分、15分と時間が経つ。

「・・・遅い?」

シャワーだけと言ってたはずだが、なかなか風呂場から出て来ない由衣が心配になる。
覗きに行く訳ではないが様子を見に向かっていた。

「・・・。」

耳を澄ませばシャワーの流れる音は聞こえる。

「おーい、由衣。大丈夫か?」

「・・・。」

「由衣?」

「・・・お・・・兄ちゃ・・・。」

水音に混じりながら、俺を呼ぶ由衣の小さな声。
何かが起こった事を知らせる声に聞こえた。

ガチャ・・・

手をかけたドアノブ。
回すと鍵がかかってなかった。

「由衣、入るぞ。」

ギィィ・・・

恐る恐るゆっくり開けると風呂場に裸のまましゃがみ込んでる由衣の姿が目に入った。

「由衣!?」

シャワーを止めると、由衣の体を抱き支えた。
どうやらまたフラついた由衣はその場に座り込んでしまったようだ。

「また目眩しちゃって・・・。」

薄ら笑いに似た笑顔を俺に向けると、由衣は俺に体を預けてきた。
真っ裸の由衣。
いつか見た巨乳も隠す事もなく晒されている。
しかもおっぱいだけじゃない。
お尻もお腹も全部生まれたままの体が丸見えだった。
しかし、いやらしい気持ちは起きない。
由衣を両手で抱ええ、お姫様抱っこすると急いで風呂場を出て部屋へ向かう。

「大丈夫か?」

「・・・うん。」

抱っこすると由衣の体の柔らかさが直に伝わってきていた。
それどころか、肌の温もりにキレイな肌艶。
女性を意識させるのに十分だった。
必要以上に強く抱いていたのは大事に抱えようとしたから。
でも、もと理由があったのかもしれない。
その柔らかさや温もりをもっと感じていたかったせいもある。

「・・・っしょっと。」

由衣の部屋に着いたはいいが、濡れた体をそのままにしとく訳にはいかない。
タオルを取り出すと、その濡れた体を拭き取り始めた。

ふにゅ・・・ふにょ・・・

「・・・んっ。」

今度はいやらしい気持ちがないと言ったら嘘になる。
それでも平常心を保ちながら由衣の体を拭いていた。

「?」

その俺の目の前に衝撃的な映像が飛び込んできた。
目線を向けた由衣の下腹部には一切毛が生えてない。
ツルンツルンだった。
上半身の大人びたおっぱいとは真逆に、下半身は少女のような幼さ。
見ない気持ちを抑えながら、どうにか拭き終えると静かにベットに横たわらせる。

「・・・ごめんね、お兄ちゃん。」

その言葉を今日は何度聞いた事だろう。
熱を計ると40度近い高熱。
目眩とフラつきは夏風邪が原因だった。
帰って来た母が病院へ連れ、帰って来るとようやく由衣の様子も落ち着いたようだ。

「・・・。」

その晩の事だ。
千雨の事もあったはずなのに思い出すのは由衣の裸だった。
真っ白な肌で染み1つないキレイな体。
汚らわしさが全くなかった。
目を瞑っても浮かんでくる。
直接触れた感触が生々しく残っていた。
軽い興奮が収まらずなかなか眠りにつく事が出来なかった。


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