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06 新学期
「純平、また一緒のクラス。」

「げっ!マジで?」

クラス替えの張り出された掲示板。
今年もどうやら千雨とは同じクラスになってしまった。

「“げっ!”って、どういう意味よ。」

「いや、別に深い意味は・・・。」

嫌がってる素振りを見せてるが、実際はそんなに嫌な訳じゃない。
腐れ縁もどこまで続くのか。
千雨とはどう言う訳か小中高と、ずっと同じクラスが続いていた。
それが今年も終わらない事に驚いていただけだった。

「今年もよろしくね。あ、違うか?よろしくやってあげよう。」

「・・・へい。」

確認すると、さっさと歩いて行く千雨をほっとき、掲示板に連なった名前を一通り見直す。

「あっ!・・・嘘、あった。」

まさかと思って探した麻衣の名前が、同じクラスに記されていた。
兄妹であるだけに同じクラスはないと予想してただけに、これにも驚いてしまった。
楽しみと思ってしまうのはなぜだろう。

「純平!始業式遅れるよ。」

「今行くよ。」

いつまで経っても子供扱いする千雨。
こんな事だからクラスメイトには“夫婦”なんてあだ名を付けられる始末。
今年も同じクラスになった訳だが、それを打破出来そうにない。
せめて麻衣の前では恥をかかないようにしようと密かに思っていた。
いよいよ始まった2年生での新学期。
無事に始業式を終えると、教室に戻って先生の来るのを待っていた。

「転校生ってどんな子なんだろう?」

「女だけどかわいいのかな?」

クラスでは早くも転校して来る麻衣の噂で持ちきりだ。
俺は麻衣のかわいさを知ってるだけに、みんなの驚きが楽しみでもあった。
そしてついに担任が教室へ入って来る。
担任が入って来た後、その後ろを着いてくる麻衣の姿に教室がザワついた。

「転校してきた紺野麻衣さんです。」

担任の紹介と共に、深々と頭を下げる麻衣。

「紺野麻衣です。よろしくお願いします。」

ザワつきは大きな騒ぎとなって教室を揺るがしていた。
もちろん騒いでいるのは、大半が男子。
やはり麻衣のかわいさは誰が見ても納得するかわいさだったんだろう。
1人だけ麻衣の存在を知ってる俺は、何らリアクションも取らずに頬杖をついて座って見ていた。
ザワつきにオドオドしてた麻衣の視線が俺を発見すると笑顔になる。
もしかして俺が同じクラスで安心したのだろうか。
何だか照れ臭くて、思わず目線を外してしまった。

「ねぇねぇ、紺野さん。どこから転校してきたの?」

「どこに住んでるの?」

「そうだ。学校の案内してあげるよ。」

ホームルームが終わると、何人かの男子生徒が麻衣の周りに群がり始めた。
2人、3人と増えていくと、麻衣は質問の返事に右往左往してる。
椅子から立ち上がる事も出来ず、質問責めに困ってる様子が伺える。
俺は助けに入ってあげようにもなかなか入っていけず、ただ困ってる麻衣を見てる事しか出来なかった。

「校内見て周ろう。」

「案内するよ。」

「行こう、行こう。」

困った麻衣とは裏腹に、話しは強引に進んで行く。

「あ、あの・・・案内なら純平にしてもらうから・・・ごめんなさい。」

「えっ?」

「純平?」

「何で?」

みんなの視線が傍観者だった俺に向けられる。
椅子から立ち上がった麻衣が俺に助けを求めるように近づいてきた。

「純平、行こう。」

「あ?ああ。」

その視線から逃れるように、麻衣は俺の肘を掴むと教室から出ようと早足になっていた。

「どういう事だ?」

「お、おいっ!」

不思議がるのは当然の事だろう。

「ちょっと走るぞ。」

「うん。分かった。」

その場から逃げるように、一緒に教室を走り出していた。


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