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37 曇り後晴れ 〜麻衣side〜
「ふぅ。」

お風呂から上がると、ため息をつき部屋のベットに横たわった。

「何か疲れた。」

楽しみだった海は、私の思惑と違ってそれ程でもなかった。

「気のせいじゃなかった・・・よね。」

今日の事を思い出す。
今朝、千雨と挨拶をする純平の態度がどこかおかしかった。
妙にソワソワしながら、千雨を見る目も泳いでたように私には見えた。
女の勘じゃないけど、2人の間に何かあったと感じる。
泳ぎに誘いに来た時のやり取りもそう。
2人だけが分かる会話をしていた。

「・・・純平のバカ。」

泳ぎたくない私に気を使って、側にいてくれたのは嬉しかった。
でも、私の目の前で千雨とイチャイチャしてるように見えて・・・。
2人の仲の良さを見せつけられてるような気がした。

「千雨って積極的なんだ。」

表向きは強気でいるけど、内面は意外と内気な性格だと思ってた千雨。
人に対する気遣いとか、遠慮とか。
本当の千雨は人の目を気にする協調性のある女の子だと私の目には映っていた。
だからこの間、遠回りだけど思い切って純平の事を話してみた。
反応は思った通りだった。
自分の本当の気持ちを知ってるクセに隠している。
素直じゃないんだ。

「私と一緒か。」

私の言葉で純平との距離を置くような気がした。
千雨の性格上、1歩引くだろうと思っていたんだ。
計算でやった訳じゃない。
でも、私の思ってた千雨は違っていた。
いつもの妄想で考えた性格と実際とでは違う事になる。

「純平の事だからかな。」

自分から言ったのに、逆効果になっていた。
積極的に純平に接してる千雨。
逆に私の方が慎重になってる。
千雨にリードされたような気がした。
相変わらずの私の妄想。
千雨の性格も把握出来ずにしてた妄想のせいで自分を苦しめる事になっていた。

「だいたい純平も純平なんだから・・・。」

私と一緒にいたかったら千雨の誘いを断ればよかったのに・・・。
怒りの矛先は、純平の優柔不断に向けていた。
誰にでもいい顔するのは、純平のいい所だけどダメな所でもある。
でも、そこが純平らしさなんだろうけど。

「・・・。」

昨日、千雨と純平に何があったんだろう。
海に行ってる最中も、その事が頭から離れない。
いちゃつく千雨と純平を見るのが嫌になった私は、みんなの所にも行かずに1人で泳いでいた。
こんな事なら素直に一緒に遊べば良かった。
今頃になって反省していた。

コンコン・・・。

「麻衣ー、俺だけど。起きてる?」

ドアをノックしたのは純平だった。

「どうしたの?」

「いや〜、ちょっと・・・。」

部屋に招き入れる。
でも、何も言わずにただボーっとしてる純平。

「?」

「何か元気なさそうだったからさ、麻衣。どうしたのかなって思って。」

見てないようでも見てくれてる。
気にしてないようでも気にしている。
さっきまでダメな所だと思ってた純平の優しさが、落ち込んだ心を癒してくれてるようだった。
純平のこんな所に惹かれたんだと思う。

「何でもないよ。ホント、大丈夫だから・・・。」

「ならいいんだけどさ。」

「今度ね、また海行こうよ。」

「いいよ。1人で泳いだりするなよ。」

「もう!分かってるよ。」

純平の笑顔で心が穏やかになっていた。